遺体で発見されたその男は素っ裸だった!
スペイン岬に出現した奇怪な死体の謎を解け!
◇スペイン岬の秘密◇ -The Spanish Cape Mystery-
エラリー・クイーン 越前敏弥・国広喜美代 訳
北大西洋に突き出したスペイン岬にあるゴドフリー家の別荘で殺人事件が起きた。殺されたのは、ゴドフリー氏の客人。マントにステッキといういでたちで発見されたが、マントの下は全裸だった。休暇中のマクリン判事のもとに遊びに来ていたエラリーはその捜査に付き合わされることに。さらに、同時に起きていたゴドフリー家の娘・ローザの誘拐事件との関係とは…?不可解で魅力的な謎にエラリーが挑む、国名シリーズ第9弾。
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久しぶりのエラリーです(・∀・) 題名は「スペイン岬の秘密」。
表紙は愛車デューセンバーグの前で煙草を吸う憂い顔のエラリー。
すっごくキザな上に、季節感もゼロですが、そこはもう気にしない(笑)
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エラリーは夏の休暇を父、リチャード警視の友達で判事のマクリンとスペイン岬で過ごすことになった。
しかし一時の宿を提供してくれたその家で意識を失って倒れている女の人を発見する。幸い女性は意識が戻り、叔父が人違いで誘拐され、自分もそれに巻き込まれたのだと言う。
果たして叔父は行方不明になり、誘拐犯の本当の目的だったその男は今朝早く死体で発見された。ーーーそれもステッキを持って、マントだけ羽織って、あとは全裸という出で立ちで!
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というわけで、「スペイン岬の秘密」です(・∀・)
これは「シャム双子の秘密」同様、事件巻き込まれ型です。
某少年漫画の主人公のように犬が歩けば棒にあたるならぬ、エラリーが歩けば事件にあたるパターンがだんだんと定着してきたようです←
かわいそうなエラリーとマクリン判事は事件調査にあたります。
全然関係ありませんが、エラリーは料理がイマイチらしいです。マジでジューナいなかったらどーやって生きてたよ!?
またこれは「チャイナ蜜柑の秘密」同様、なぜ、死体をそうしたか? が事件を解く鍵になるパターンです。
今回はスッポンポンな死体が主人公。なんで服を剥ぎ取るという面倒くさいことをしたか? が分かれば自ずと犯人が分かる。……かもしれない←
その遺体ーーーつまり被害者はクイーン作品でも一、二を争う、クソろくでなしで、エラリーをして「殺した者は人類の救いの神」とまで言わしめます。
事実、被害者は1人や2人じゃない数の女性の人生を揺るがしたり、崩壊させています。
ジゴロの中でも最悪です。
被害者がとんでもないやつゆえに、ゴドフリー氏の客人たちがそれぞれ思惑を抱き、行動します。夫婦像も心情もクリスティーに登場する人間たちと同じくらい、複雑で現実的(生々しいとも言う)です。
様々な人間たちが登場した中、エラリーもある悩みを抱きます。
彼と同じ、裁くことを仕事に持てない人間が悪を裁くことについて。
今回、被害者はとんでもない悪党でした。よって犯人は悪を倒すために殺人という罪を犯したわけであり、エラリーはその人を犯人だと名指すことを悩むわけです。
すごく短絡的に言えば、被害者を殺した人間は本当は悪党ではないのに、裁きを受けなければならないのか? 本当に裁かれなければならないのは被害者では?と考えるわけです。
エラリーはリチャード・パパと違って素人です。時には容疑者、または犯人に同情し、そのとおりに行動したいと願いでしょう。
これに対抗するすべはただ1つ。事件調査をやめちゃうことですが、エラリーの頭脳は天才的。パパを始め、ヴェリー部長刑事やたくさんの警察官、判事が彼の頭脳を必要としています。彼自身も事件調査をやめられないでしょう。
気づかなかった頃にはもう戻れない。進む中で、エラリーはエラリーの考えと論理で自分の道を歩いてほしいと思います。
「スペイン岬の秘密」でした(・∀・)/
さて、これで国名シリーズは完結です!
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えっ!? 完結なの!?
「日本かしどりの秘密」は!?
そりゃ、確かに原題には国名はついてないけど(原題はThe Door Between)! でも! でも!
ちょいと調べましたが、この頃の日米関係はかなり緊迫し、エラリーによる日本への批判、差別発言が多いとのこと。戦後にダネイ氏かリー氏のどちらかが来日しましたが、それを考えると複雑です。
やっぱ、朝は満員電車に乗せて、昼は秋葉原に連れて行って、夕方は着物と浴衣を着させて、夜は鰻か松茸か河豚のディナーで〆るしかなさそうです←
もしエラリー一行を現代日本で観光させるなら。案を募集中です(笑)
てなわけで悲しいですが、国名シリーズは一応終了、なぜか「中途の家」が国名プラスで7月頃、発売されるそうです。なんで、これ?
ジューナの出番あるんでしょうね!?
では一旦、またね! キザなエラリー!
次回はブラウン神父の最後の説教です(*^o^*)/~