S・S・ヴァン・ダイン No.13◇ウィンター殺人事件◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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9年間の海外古典ミステリ読破に終止符を打ちました。

これからは国内外の多々ジャンルに飛び込みます。




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床に死体を横たわらせ、エメラルドを盗ったのは、誰?

ファイロ・ヴァンスの活躍、ついに最終巻!
 
 
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◇ウィンター殺人事件◇ -The Winter Murder Case-
S・S・ヴァン・ダイン 井上勇 訳
 
 
バークシャーズのワインウッドにある大邸宅に集まったニューヨーク社交界の常連たち。その最中、突如発見された二つの死体とエメラルドの首飾りの盗難。折しも、氷上では可憐な美少女がフィギュア・スケートの妙技を披露し、一方ファイロ・ヴァンスは精緻を極めた論理を展開する。巨匠ヴァン・ダインの遺作長編に、「推理小説二十則」と「推理小説論」を収めたファン必読の一冊。
 
 
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「ウインター殺人事件」です(・∀・)
桜が満開な今日この頃に冬の寒さを思い出します(笑)
 
 
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ファイロはマーカムに休息がてらある屋敷に護衛に行って欲しいと頼まれる。
 
 
その家とはエメラルドの蒐集家で有名なカリントン・レクスン家。
このたび息子のリチャードが結婚することになり、パーティーを開くことになったが、その招待客が変人ばかりなのでエメラルドが心配なのだと言う。
 
 
ファイロは最初は渋るが、結局引き受けることに。
 
 
しかしカリントンの心配は本物だった。招待客はなにやら思惑を抱いている者たちばかりだし、家の管理人と招待客の1人が死体で発見され、エメラルドまで盗まれた!
 
 
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というわけでついにファイロ・ヴァンスの事件簿も最終巻! 「ウインター殺人事件」です(・∀・)
 
 
しかしこれを書きあげた直後、ヴァン・ダインことウィラード・H・ライトは急死してしまいました。
 
 
しかもわたしたちが今、読んでいる本書は真の完成ではなかったそうな。
この形は雑誌掲載された簡略版で、出版するときはさらに肉付けして長くしたそうです。だから極端に短いのです。
 
 
だからこそ、
この話、もっと長かったら絶対に面白かった!
 
 
登場人物がみんな一癖も二癖も三癖も四癖もありそうで、もっと掘り下げたら絶対に面白かったと思うんです。
スケートの才能に溢れたエラの活躍ももっと見たかったし。中には1回出て後は? の人もいましたし。
 
 
でも題名に「ウインター」に何か意味は……? 
事件が起こったのがただ冬だったってだけだろーがこれ。
でもそうなると「スケート」? いや、「スケート」自体は何も関係ないし、そしたら「グレイシー・アレン」嬢のようにヒロインの名前をつけるか? いや、それもなー。
 
 
あと、
マーカムとヒース部長刑事どーしたあああああああ!?
マーカムは最初だけ、ヒースは最初から最後まで出てこないってどういうことよ!?
元気で活動的なヒース、最近ファイロの言動に慣れてきたヒース、余生は鶏と過ごしたヒース←
この2人がファイロと一緒に事件現場にいないとは何事だ!
 
 
わたし、3人(4人?)の掛け合い好きだったのに! 今回、ファイロはシリーズで初の外部の警部と一緒に事件調査を。さぞやり難くかったでしょう。
 
 
付録は「S・S・ヴァン・ダインの推理小説の二十則」と「探偵小説論」。
彼はここでイーデン・フィルポッツ(初期の頃にアガサ・クリスティーにアドバイスをした作家です)を高く評価しています。
「恋愛はだめだ」とここにありますが、彼が「これはいい」と挙げたものの多くは恋愛要素が濃いと今月のハヤカワミステリマガジンでありましたが……(^▽^;)
 
 
「ウインター殺人事件」でした(・∀・)/
 
 
さて! 本書でファイロ・ヴァンスシリーズ、そしてS・S・ヴァン・ダインの全著作を読み終わりました!
最初は後半6冊は読む予定ではなかったのですが、図書館という強力な助っ人を迎えて、「読むか後半!」となりました。イマイチ! と呼ばれる作品にはまた別の楽しみがあります(笑)
 
 
ポーの後、英国生まれのミステリに圧倒されて低迷の道を歩いていたアメリカミステリを成熟させたS・S・ヴァン・ダイン。いまは彼の影響を受けたエラリー・クイーンらにその名は霞消えようとしていますが(青は藍より出でて藍より青し。ですね)、
エラリー・クイーンが登場したのはひとえにS・S・ヴァン・ダインのおかげでしょう。
 
 
そしてファイロ・ヴァンス!
博識で心理を重んじ、引用しまくって周りを混乱させ、紳士でスポーツマンだけど歩くの大嫌いなファイロ!
とうとう名前を呼んでくれる人はいませんでしたが←、後半、アクティブになってちょっとびっくりしたよ! 身体に気をつけて!← 時々カーリーを労ってね!
 
 
ファイロに振り回されながらもファイロ流の皮肉を身につけたマーカム地方検事!
苦労だらけな地方検事時代だったろうけど、これからもファイロのいい友達でいてあげてください! 
 
 
ファイロを尊敬して、信頼して、かつファイロの言動に慣れてきたヒース部長刑事! 
最後出なくて残念だったけどお元気で! 鶏を大事にいい余生を!← これからもファイロとマーカムを助けてあげてください!
 
 
そして内気で忠実な記述者ヴァン・ダイン! 一言でも「」付きで台詞があってもいいじゃないかと思ったけど後半は名前を呼ばれることも増えたね! ファイロといるのは寿命が縮む思いだろうけど、これからもファイロのいい相棒&いい記述者&いい友達でいてあげてください!
 
 
あと食事時と寝る時に限って呼ばれるタイミングに恵まれないドアマス医師もお元気で!←
 
 
みんなみんなお元気で!
 
 
ーーーS・S・ヴァン・ダイン(推理小説のみ)、全巻読破達成。
2015年3月30日。