家族とはそういうもの/血族
血族
山口瞳
- 血族 (文春文庫 や 3-4)/山口 瞳
- ¥610
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自分の親の若い写真をみるとなんだか遠い空を眺めているような気がしてきます。
遠いような近いような、自分に関係があるような、ないような。
さらに祖父母との家族写真となるとその距離はさらに遠くなりますが、でもやっぱり自分からは離れなれない。
日没寸前の長く伸びた自分の影のように。
家族から先に伸びる系図は、自分の誕生にまつわる重要な内容なのに、伸びれば伸びるほどディテールは曖昧。
そう、血はつながっているとはいえ、家族親族血族は「謎」を含んでいるんですね。
そんなことを改めて考えてしまった作品でした。
この本のあらすじは、作者の母方の親族を探っていく話になります。
戦争成金として豪邸と夜逃げを経験した幼少時代。
遠い親戚との同居と父と母の争い。
母の若い頃から急に長男、そして自分になる、母のアルバム。
家の中で語られる奇妙な言葉。
自分の本当の誕生日。
すこしずつ明かされていく謎は、まさしく謎が謎を呼び、謎が明かされていくたびに更なる謎が追加されます。
それでも見えてきた、母方の親族の本当の姿とは・・・。
今手にしている本は昭和54年発行で55年には28刷りになっています。
全然知りませんでしたが、そのころは結構売れたんですね。
作品解説では丸谷才一が「社会性のある私小説」と評しているのも隔世の感があります。
私自身、山口瞳という作家はほとんど興味のない作家ですが(開高健と同じサントリーの広報室にいたことぐらいしか興味がなかった)、それでも十分面白く読めました。
古いアルバムを思い出すところから始まるのは、「人間失格」みたいで、なんだか恥ずかしかったです。
父方の謎を探る「家族」というのもあるみたいですね。
そちらも気になってきました。
つなさんのブログで読む気になりました。
よい本のご紹介どうもありがとうございます。
http://tsuna11.blog70.fc2.com/blog-entry-83.html