敗戦のトラウマととジーコのシンプルな偉大さ/神の苦悩-ジーコといた15年-
神の苦悩
鈴木國弘
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ジーコ の通訳をずっとやっていた鈴木さんの 日本代表時代のジーコ監督について語ったもの。
鈴木さん、高校生のときにサッカーボールと下着だけもってブラジルに密航しようとするぐらいブラジル好きのひとなので、書いてあることもなんだかラテン系。感情バッチリ入っていますが、でもその分普通のルポにならなく面白い作品でした。
第一章はいきなり、W杯ドイツ大会での日本対ブラジル戦直後のあまりのブラジルの強さにショックを受けたところから。
実は選手もスタッフもブラジルとそれなりにやれると思っていたところをチンチンにやられて結構ショックだったそうです。
鈴木さんはあまりにショックでその夜はたいして眠れず翌朝、食事をとるためスタッフが集まると、もうジーコはショックから回復していたそうです。
それで鈴木さんはおもわず、何で負けたか、なんであんな負け方をしてしまったかをジーコに尋ねると
「それは、ブラジルみたいなチームはああいう状況での試合運びはうまいので絶対にリードされてはいけないんだ・・・」
と色々な分析を話し出し、それを聞きながら、こういう切り替えの早さもジーコのすごさなんだなぁ、と実感したそうです。
その他、鹿島に入ったときからのエピソードなど、色々書いてあるのですが、あぁジーコって、ホント日本のことを考えてくれていたんだ、ということ。
鹿島時代は周りは2流のアマチュアばっかりだったので、それこそcm単位でポジションのことを厳しく指導していたのですが、日本代表監督としては選手のレベルも違うのでそんなポジショニングのことは細かく言わずに、できるだけ選手にまかせて、監督としてはチームを家族みたいな雰囲気にしていこうとしていたことでした。
マスコミは色々不協和音を伝えていましたが、逆にいうと不協和音以外のメロディー、レギュラー選手からはたとえば俊輔は「監督とW杯に行きたい、勝たせてあげたい」といっていることやヒデも「ジーコだから代表に入った」というコメントは、そのファミリーとしての確かさが伝わってきます。
徹底して手を抜かない方針や選手のことを考える様子、そして絶大な技術と経験の積み重ねを読んでいると、やっぱり偉大な監督で十分にそのことを理解したかったなぁということ、その監督をもってしてもベスト16に入れなかったことは思っていたよりもショックなこととしてもっと真剣に考えてもいいのかも、と思いました。
実はそのショックからまだ多くの人は立ち直ってはいないのではないかということも、改めて感じます。
ブラジルで性格も人柄もそしてサッカーの技術も含めて尊敬できる人として1位を争うようなジーコ。
もう、日本と関連もあんまりなさそうなのですが、改めてジーコの人柄も含めての功績に心打たれた内容でした。
最後に気に入ったところ、ジーコのすごさと日本人の足りない部分を抜書き。
P113-114
「後に実兄のエドゥーから聞いた話だけど、ジーコが技術的に一番すごかったのは13歳のときだったという。・・・ジダンがやるルーレットとか、ロナウジーニョのエラシコとか高難易度の技を何でもできたそうだ。エドゥーは「あいつがボールを使ってできないことは何もなかったといっていた。」
しかしジーコのすごいところは、フラメンゴ入団で、自分のサッカー観というかプレー観をすっかり変えてしまったところだ。・・・だから、ゴールを挙げることに本当に集中してしまって、不必要な曲芸のようなプレーを全部捨ててしまったという。」
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