容疑者も被害者/空飛ぶタイヤ | できれば本に埋もれて眠りたい

容疑者も被害者/空飛ぶタイヤ

空飛ぶタイヤ
池井戸 潤



空飛ぶタイヤ/池井戸 潤
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名前は変えられているものの、三■自動車のリコール隠しにまつわる人身事故を、事故を疑われた運送会社の社長の視点から描いたものです。

被害者はもちろん子供と夫を残してなくなってしまうのでつらい話なのですが、運送会社の社長にその視点を置くことで、事故関係者としての苦悩、自分は加害者でないかもしれないという迷い、財閥系大企業への責任追及の困難、会社経営の薄氷を歩くような資金運用などを、肉薄してかかれています。

本の中では実際にその社長が、車会社の事故を綿密に調査し、そこに問題がなかったか確証を探します。
実話でもここまでひどい話なのでしょうか。

この件のウィキペディア を見ると本とは書いてあることがちがって、小説は小説なのですが、ウィキにも違和感を感じてしまいます。

大企業に謎解きを挑むという面白さもあり、また、自分のために社内改革を起こそうとする自動車会社社員と既得権益者のと駆け引き、ダメ大会社に融資を苦慮する担当銀行員、なんとか運送業をこなしながら、地元ではPTA会長として厄介ごとに巻き込まれるなど、それぞれの立場と考え方から考えており、刺激的です。

一番問題は最初の出だしですが、そこを過ぎればどんどん読めてしまいます。
よくかかれた現代小説として十分楽しめました。