ジョン・アーヴィングの楽しみ方/第4の手 | できれば本に埋もれて眠りたい

ジョン・アーヴィングの楽しみ方/第4の手

第四の手
ジョン・アーヴィング

第四の手/ジョン アーヴィング
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「熊を放つ」「ガープの世界」以来、久々のジョン・アーヴィングです。
上記2冊を読んで、面白いながらもなんだかイマイチしっくりこなかったのが本当のところで、それからあまり読んでいませんでした(10年以上か)。

書評家の豊崎氏の「そんなに読んでどうするの」を読んで「とにかく登場人物のすべてについて書き込むジョン」というような記述を読んで、なるほど、と思い再度手にとる気になりました。
つまりある程度の深みのある人物の群像劇と思って読んだらいいわけですね。
そう思って読んでみると、安心して読むことができました。

あらすじは、とにかくよいルックスと押しの弱い性格でなぜかモテる主人公。
しかしモテることとは裏腹に、人生を流れるがままに過ごしていきます。
テレビのキャスターをやっていくうちに、いつのまにかジャンクなニュースを専門に扱うようになり、インドにライオンの取材をしに行ったときに、片手を噛み千切られてしまいます。
そして片手のない生活になれたころ、片手の移植手術を行い、とりあえず成功。
そして移植した片手の持ち主の妻(未亡人)と面会し、その女性に恋をしてしまうのです。
しかし相手は、移植した手に会いたいだけ。
そして手には拒否反応が現れ始め、このあたりからやっと主人公は生の実感らしきものを手に入れ始めるのでした。

才能のある人が才能だけで生きてきて、場末に流れ着いてなおそのことに気づかず、手に入れ難い恋をして初めて人生の実感らしきものを感じ始めるのは、我が我がのアメリカ人らしいいといえばらしいのですが、それが事実であるのも否めないでしょう。

特殊な登場人物と特殊な設定ながらも、それぞれが織り成す物語を淡々と書いてあり、この異世界に引きずり込まれてしまうのはさすが熟練の技というべきでしょうか。単行本でP387と「小説は長ければ長いほどよい」というジョン・アービングにしては短めですが、久しぶりに読むにはちょうどよい長さです。
でもジョン・アーヴィングの「とにかく書き込む」とスタイルでは、この長さは物足りないのも確かでした。
今まで刊行した本に、上下巻がやたらに多いのはそれなりに意味があるんですね。

それにしても、片手のモテ男の初恋話を意味深く語れるのは、ジョン・アーヴィングぐらいです。

ぜんぜん違う世界をじっくり俯瞰してみたいとき、ジョン・アーヴィングは悪くありません。


熊を放つ〈上〉 (中公文庫)/ジョン アーヴィング
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熊を放つ〈下〉 (中公文庫)/ジョン アーヴィング
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確か処女作。ロードノベル型の青春群像劇。
荒削りながらもすでにジョン・アーヴィングです。
ガープの世界〈上〉/筒井 正明
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ガープの世界〈下〉/筒井 正明
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この作品で有名になりましたね。
レスリングの描写がタフながら母のお腹にいる赤ちゃんをみているようで、閉塞感と奇妙な居心地のよさを感じます。
そんなに読んで、どうするの? --縦横無尽のブックガイド/豊崎 由美
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豊崎氏にしては珍しく?ほぼ全部誉めています。
まったく手探りの海外作品については、ガイドブックとして結構お世話になっています。