ローカル便利屋エンターテイメント/三浦しをん
まほろ駅前多田便利軒
三浦しをん
- 三浦 しをん
- まほろ駅前多田便利軒
たまには最近のエンターテイメント小説を、と思い読んだ本です。
あらすじは、
なにやらワケアリな陰のある青年が営む便利屋に、こちらもワケアリな元級友が転がり込みます。
なんとなく追い出せずいると、旧友は便利屋を気ままに手伝いはじめ、そしてなぜか毎日が過ぎていきます。
そしてワケアリな理由が、だんだんと分かってきて・・・。
という感じです。
設定を東京の町田市?あたりにおき、ちぐはぐな二人の関係を巧妙な会話楽しみ、探偵家業のように次々と問題が向こうからやってくるといった便利な構成と登場人物のスタンス(文体)で読ませる小説でした。
各仕事ごとに短編になっており、その扉に「女性が書いたかっこいい男性像」みたいな絵が書かれていて、「や0い?」と一瞬引いてしまいましたが、話が地味な分主人公の二人をかっこよく設定しておかないと、さえない人のさえない話、になってしまうのでじつはそれなりに効果のある扉絵でした。
奇妙な仲の二人の会話や便利屋なのに犯罪に巻き込まれたりする部分は割と楽しめたのですが、「ワケアリ」な理由がいただけません。
ネタバレになりますが
主人公のワケアリは、相思相愛と思っていた夫婦生活だったのに妻が不倫。発覚後よりを戻すが直後に妊娠。出産して子供のDNA鑑定を受けずにいたところ、夜、夫が子供を見ていて、ふと寝てしまった間に子供が突然死。妻に「あなたのせい」「ごめんなさい」を繰り返され、離婚。
というワケアリですが、なんだか小説に深みを与えるためだけの設定のような気がしてしょうがないですね。
こういう問題を正面から扱うならそれはよしですが、その書かれた割合からも、読ませどころからしても、正面から取り上げたいわけでもなさそうです。
もちろんうまく書いているので、あからさまなそういった部分の傷はありませんが、だからこそ、それだけの技量をもっているからこそ、そういう誠意のない書き方はして欲しくなかったですね。
馬鹿話ならそれをそのまま続ければいいし、ワケアリを問題にしたいのなら、そういったアプローチをとればいいのに。
相方のワケアリもおおむね設定、といった感じをうけます。
ま、それも含めてエンタメ、と受け取ればいいんですが、記号化したワケアリの本なんてやっぱり私は楽しめません。
読んでいる間は楽しかったのに、読み終わればなんだかいろいろ文句が言いたくなってしまいました。
でも、ブログに書かなきゃここまで考えなかったかな、とも思いますが。
とここまで書いておきながら、直木賞受賞作なことが判明。
そうか、もうここまでワケアリはアリなんですね。