なんて贅沢な作品なんでしょう | できれば本に埋もれて眠りたい

なんて贅沢な作品なんでしょう

世界の川を旅する
野田知佑
野田 知佑, 藤門 弘
世界の川を旅する

カヌーエッセイストの野田さんの初期傑作「日本の川を旅する 」から数十年、年を経て「世界」に漕ぎ出た作品です。

得意の北米から、歴史溢れるヨーロッパのアイルランド/アイスランド/イタリア、熱帯のタイ/フィジー/コスタリカ、アウトドア先進国のニュージーランド、オーストラリア、辺境モンゴル/パタゴニア、と世界中を漕ぎ下っています。

前にも書きましたが、1か所に付き大判の本で16pと実にふんだんに素材を使っています(普通の旅行作家なら、1国1冊は書ける内容)。

そして写真に添えられた短文もいい。
本文も良い。
そのなかで気に入った一文。

「ここには文明の便利さや快適さ、肉体的安楽は皆無だが、自由はふんだんにある。それは山の中でのたれ死に、雪の中で凍え死ぬ自由でもある。手で触れるとヒリヒリとするような自由だ」

全部面白そうな場所でしたが、特に面白そうだったのをいくつか。

●アイルランド。
いまでも土と神話の匂いがするこの国は人々も血が通っていて面白く、高低差のないゆったりとした川を下りパブに入り、村の人々に話をきくと日に1ー2度はパブにくるとのこと。そこに老酔漢がやってきて「日本人だって?よくぞイギリスをやっつけてくれたな。日本軍がプリンスオブウエルーズを撃沈したときは思わず乾杯したぜ」だって。
ほかにも雨の中川岸で釣りをしている老人に「雨の日も釣りですか」話し掛けると「ここの雨はすぐやむ。寒くなったらウィスキーを飲めばいい」とのこと。
英語を勉強して(なまりはきついらしい)遊びに行きたくなりました。

●ニュージーランド。
自分の土地にカヌーでしかいけない絶壁の川をみつけ、宿を経営するようになった話がありました。どれだけ土地があまっている国なんでしょう。

●オーストラリア。
灼熱のLand of Never-Neverという灼熱地帯の川を下る。水浴びをしながらの旅。川には普通にワニがいて、あるところでガイドが「漕げ、急げ」と怒鳴る。しばらくしてガイドにきくと「目に見えた訳じゃないが、感じだ。あの崖の下の所で何かとても無気味な感じがした。俺はああいう感覚は発達しているんだ。あそこには絶対大きなワニがいたな」
なるほど、そういう部分が必要とされる職もあるんですね。

どの国も魅力的なのですがこのぐらいで。
写真付き旅行本はやっぱり大判がいいですね。中古でもいいから手に入れたい本の一つになりました。