写真家の結実
小林紀晴の本を最初に読んだのはご多分にもれず「ASIAN JAPANESE」でした。
「ASIAN JAPANESE」は、アジア各地で、その地に長く滞在している日本人を写し、その話を書いたものです。
1995年に書かれたもので、そのころはちょうどアジア旅行が一般的に流行りだしたころでしょうか。
一般化したアジア旅行の陰で、その地に「沈没」した分けありの人々。
その重みのあるたたずまいは、写真からも文章からも日本本土とは違う違和感を感じます。
小林紀晴は、元新聞社のカメラマンで、社内の人間を見渡し、自分の才能を再確認してフリーになったそうです。
なるほど、確かに才能はありますし、着眼点も面白い。
希望をもって猥雑な地にやってくる若者。
職を辞し自分を再度探しにやってきた中年。
人生の終焉の地として、流れ着くように貧民窟に居座る老人。
写真を見ると、底深い人の業のようなものを感じます。
沢木耕太郎や藤原新也ではなく、若い視点でアジアでの漂流感を読める作家の一人です。
多作家で、その後も
ASIAN JAPANESE 1-3
ASIA ROAD
DAYS ASIA
旅をすること
写真学生
japanese road
など、色々です。
いつかその違和感が何かに結実するか、楽しみです。
あと、文章が少しうまくなれそうな気がします。
出ている本には必ず文章がありますが、写真家・作家としての立ち位置がなかなか難しいのかもしれません。