あのライアル・ワトソンの書く伝記
「アフリカの白い呪術師」ライアル・ワトソンライアル・ワトソンは「スーパー・ネイチャー」や「未知の贈り物」など、ニューサイエンスの旗手として日本でも一時期非常に有名になった人です。
動物行動学の博士号や心理学などの多くの学士号を持つ博識と、その博識を自分の知識として再構築して、まだ科学の光の届かないあいまいな境界を理知的に照らすことを得意としています。
上記の2冊も非常に面白い本なのですが、「アフリカの白い呪術師」は、自作でも非常に人気のある作家にして、「僕はこの本を書くために今まで本を書いていたのかもしれない」のようなことを言わしめた本です。
内容は、ある若いイギリス人が一人でアフリカの原野に向かう。塩とナイフだけを持ち、そこでの暮らしにあこがれて。
そこで暮らし様々なことを学んでいくうちに、荒野に住んでいる人とも交流を持っていく。そこで彼は、彼自身が持っているたとえば蛇に対する能力と呪術的な才能を開花させていく。
人類発祥にまつわる話と、呪術に造詣の深いライアル・ワトソンだからこそ抵抗なく書けた本だと思います。
呪術、ときくとすこし胡散臭く思えますが、これを精神世界の多様性ととらえ、それが実行力のあるものとして生活に根付いているのなら、むしろ我々の精神世界の薄さのほうが恥ずかしくなります。
アフリカの人類学的な面白さと民俗学的な知識の重なりを、アフリカに受け入れられたイギリス人を通してみることで、アフリカ自身を他の地域と様々な部分で独自のどの地域より高度な文化をもっていることを、身近にわかるこの本は、実に刺激的でした。
またこの本で挿画の面白さを知りました。
いままでは、挿画なんて邪魔なだけかと考えていましたが、お互いに掘り下げあう挿画と文章の関係は実にいいものです。
どの本にも、こんなにいいものなら挿画が少しでもいいのでほしくなります。
手元に置いておきたい本の1つですね。