自分の限界を感じる作家 | できれば本に埋もれて眠りたい

自分の限界を感じる作家

マイケル・オンダーチェという作家を知っていますか。
映画化した
イギリス人の患者
(邦題は、「イングリッシュ・ペイシェント」です。配給会社の苦悩が伺われます)
で、有名な作家ですが、この人の最新作
アニルの亡霊
が、とてもいい。
海外に移住していた主人公は、かつて暮らし、今は敵も見方も分からない内戦下のスリランカで、ある骨の身元を探るよう依頼される。
当然、どちらかに荷担することになるので、危険な仕事なのだが、現地の考古学者と組んで、調べ始める。
非常に幻視的な文章で、それが熱帯のまとわりつくような熱気と、不条理な死が平然と横たわる内戦特有の体の内側から感じる冷気が、幻想と現実の間を行き交い、生きながらにして夢の中にいるように感じさせる。
環境が違えば、悪夢などすぐ立ち上がってくることを暗示するように。

この本にとても感動して、ほかの本も読んでみました。

イギリス人の患者」戦場の、ある屋敷で、ある傷ついたイギリス人の患者を面倒を見る看護婦、という話です。とても美しい文章でかかれているのですが、私にはあまりに詩的な文章のため、途中からイメージがついてこなくなり、読了を断念しました。機会があったら映画を見ようと思ってます。

バディ・ボールデンをおぼえているか
レコードができる前の、天才ジャズコルネット奏者の、話。
なんだかすごく面白そうな設定ですが、これも、インタビュー、詩のようなイメージなどをコラージュのように配していて、残念ながらイメージがついていけなくなりました。

家族を駆け抜けて
マイケル・オンダーチェのルーツを探っていく話なのですが、家族の挿話が、まだ植民地時代の農園主の話なので、それだけで幻想的なのですが、しかもオンダーチェです。とてもドキュメンタリーとは思えないほど美しく描かれているのですが、そのイメージの統一性が途中から見えなくなって・・・。

友人と話していても、そういった幻視的イメージを楽しむ、というところがどうも私は能力としてかけているようです。
そうした、ものも読めるようになりたいので、色々チャレンジしているのですが・・・。

そういえば、安部公房も読みきれなかった・・・。

しかし、そんな私でも読めた「アニルの亡霊」は傑作です。
ぜひ、一度、ご一読を。