ニック・ホーンビィのNo.5
「その国のことを知りたかったら、その国の2流小説を読むといい」といったのはグレアム・グリーンだったか、といったのは開高健だったか。とにかく、ホーンビィの小説は今の時代の等身大だ。
サッカー(特にアーセナル)を中心に世界が回る少年・青年の話「僕のプレミア・ライフ」やレコードにこそ人生の意味がある、もしくは気づいたときにはレコードにうずもれていた「ハイ・フィディリティ」や、金持ち御曹司のお気楽な憂鬱を描いた「アバウトアボーイ」にしても、年相応の人間が描かれている。
そこには、人生の鍵となる秘密もないし、人生を変えるような強烈な出来事も起こらない。
ただ、今の生活を自分なりに楽しく過ごしていく、たとえそうはうまくいかなくても、そんなないようだ。
生活に沈溺し、サッカーやレコードやお金に守られたぬるい日常などで、日々を食いつぶしていく。
恐ろしいが、それが日常であり、そんななかを我々は生きていくしかない。
が、日常にも楽しみ方はある。村上春樹流にいえば、音楽を聴き、本を読み、料理を作り、部屋を掃除する。そんなことだ。
「ハイ・フィディリティ」では、なんでもベスト5をつける。
それはそれで面白い。
生活の知恵だ。