第一章
1.『ソロモンの指環』
『ソロモンの指環』とは、オーストリアの動物学者コンラート・ローレンツが書いたエッセイ集である。以下の英文は、その一節である。
In the study of the behavior of the highest animals, very funny situations are apt to arise, but it is inevitably the observer, and not the animal, that plays the comical part.
という英文を日本語に訳していく。
前提として、この英文を直訳すると日本語にして不自然になってしまうという点を踏まえて、日本語して自然になるように「意訳」するのが目標である。
まず、In the study of the behavior of the higher animals,,,
はどう訳せばいいか。
studyはここでは名詞として用いられているが、「研究する」という動詞の置き換えて考えることができる。
つまり、「高等動物(higher animals)の行動(behavior)を研究する」と解釈することができる。
studyを「研究する」と捉えるからには、「誰が」研究するか、つまり主語は誰かという点を考えなければならないが、ここでは特定の誰かを指しているわけではないので、「我々」を主語にすることができそうだ。
しかし、「我々」という主語をあえて表に出す必要はなさそうなので、主語は省略してかまわないだろう。
(日本語と英語の主語の違いについては後の章で述べられている)
さて、In the study of the behavior of the highest animalsは「高等動物の行動研究をしていると」とすることができる。
ここでのポイントは英語では名詞として扱われているstudyを日本語では「研究する」のように動詞として扱い、of以下を「研究する」という動詞の目的語(何を研究するか)として捉えることができる。
そして、studyを動詞と捉える際に、When we study the behavior of the higher animalsのように副詞節に置き換えて考えることもできる。
副詞節に置き換えた文を訳してみると、「高等動物の行動を研究していると」という日本語として自然な訳が出てきやすいのではないか。
このような発想の転換が自然な翻訳、つまり「意訳」には欠かせない。
参考
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%AB%98%E7%AD%89%E7%94%9F%E7%89%A9
(高等生物wikipedia)
(あくまで僕が参考にしたものです。wikipediaなので、そこに書いてあること全てが正しいわけではないことは周知の通り。しかし、ここで翻訳するにあたって高等動物が具体的にどんな動物を指すのかはあまり重要ではない。知っているにこしたことはないが、詳しいことは専門家に任せればいい。)
