コロナ禍の今、ぜひ読んでもらいたい漫画

 

 

 

リウーを待ちながら

 

朱戸アオ著

 

3巻完結 

 

 


 

 

 

 

この漫画は2017年1月から「イブニング」で連載されていた

 

 

 

現在のコロナによるパンデミックと同質の世界が描かるている

 

 

 

舞台は富士山麓の美しい街・S県横走市

 

駐屯している自衛隊員が吐血し昏倒

 

同じ症状の患者が相次いで死亡する

 

原因がわからないまま静かに瞬く間に感染が拡大していく

 

病原は新型のペストだった

 

主人公は内科の女医・玉木涼穂

 

アウトブレイクが起きた市で

人間になにができるのか

 

 

 

この漫画のタイトルにでてくる「リウー」は、フランスの作家アルベール・カミュが1947年に書いた『ペスト』という小説の中にでてくる医師の名前だ

 

 
 
カミュの『ペスト』は不条理が集団を襲ったことを描いた
 
その不条理は伝染病のペストである
 
フランスの植民地であるアルジェリアのオラン市をペストが襲い、苦境の中、団結する民衆たちを描き、無慈悲な運命と人間との関係性が問題提起される。医者、市民、よそ者、逃亡者と、登場人物たちはさまざまだが、全員が民衆を襲うペストの脅威に、助けあいながら立ち向かう物語
 
 
 
このカミュの『ペスト』はコロナ禍のいま、世界各国でベストセラーだそうだ
 
 
 
わたしは未読なのでまた読んでみようと思う
 
NHKの100分で名著にも過去取り上げられていて、最近再放送されていたらしい
 
 
 
 
 
 
タイトルにリウーが入ってることでお察しかもしれないが、物語りの中盤からカミュの『ペスト』の本が登場し多々引用部分がでてくる
 
 
 
「不条理」はやってくる
 
 
 
「不条理」とは、人間のコントロールの及ばないものだ
 
自然災害。。。地震、台風、河川の決壊などの水害、土砂崩れ
 
そして疫病
 
 
 
不条理は人間性を蝕む
 
 
 

 
 
懸命に事態に立ち向かう玉木と
国立疫病研究所の原神
 
 
 
現場のやるせないひっ迫した状況は
少し前のニューヨークを思い出させる
 
 
 
上のカットのなかで原神が
 
 
 
怖いんだよ
人間は解決できないことに耐えられないのかもしれない
 
 
 
と言っているのは
 
ロックダウンされた横走市から脱走した人のあぶり出しの騒動をさしている
 
 
 
脱走者のリストが週刊誌に氏名がさらされ、
 
そのなかの一人の女性が受ける、ある種の暴力
 
 
 
その結末は悲惨に描かれている
 
 
 
しかしもうすでに
これに近いことはわたしたちの現実で起こっている
 
 
 
正しさを振りかざすことは暴力となり
悲しみを産む
 
 
 
 
 
 
玉木先生の父親もまた医師だった
 
 
 
玉木先生が子供のころ、父親とドライブ中に車が故障した
 
携帯も通じない、
誰も通らない山奥の林道
 
車が通りかかることを期待して
「助けて」のボードをつくった娘に父親が言う
 
 
 
希望を持ちすぎるな
 
世界に期待しちゃいけない
 
この世には
コントロールできる事と
できない事があるんだ
 
もっと
あきらめながら
がんばらないと続かないぞ
 
 
 
言葉の意味がわからず
 
どうすればいいんだ、とつめよる娘に
 
 
 
んーとりあえず歩くか
 
と、かえす父親
 
 

 
 
あきらめる、というのは一見ネガティブで良くない事と感じる人もいるかもしれない
 
 
 
しかし
 
 
 
前を向いて進むためには
あきらめも肝心なのだと思う
 
 
 
あきらめたあと、はじめて冷静に
いま、できることがわかる
 
 
 
ストーリーのなかに
さまざまな立場にいる普通の人たちが描かれる
 
医師、
看護師、
院長、
医療関係ではないスタッフ
自衛隊、
感染のもととなった患者
感染者
それぞれの家族
 
 
 
どれだけ医学や化学が発達しても
人がコントロールできないことがある
 
 
 
その不条理との向き合い方のヒントになるのではないか
 
 
 
だいぶ前に一巻だけ読んで
最近、3巻まで読んで読了した
 
 
 
いま、現実に世界で、日本で起きている誰かのことを感じられる作品だと思う
 
 
 
 
調べたら
ネットでもかなり取り上げられている
 
「リウーを待ちながら」の記事下矢印
 

 

 

 

 

 

注意してもらいたいのが、

漫画のなかの新型ペストは致死率が高いウイルスとして描かれている

 

 

 

致死率と感染率(感染力)は比例しない 

 

恐ろしい殺人ウイルスのエボラは、感染力が低かった

 

 

 

コロナが厄介なのは、無症状感染と、その感染力の高さ

 

なにかしらの基礎疾患がある人にとっては死のトリガーになること

 
 
 
いま、一見落ち着いてるようでも
わたしたちはみんな
パニック状態なのだと思う
 
 
 
しょうがない
 
全世界規模での不条理にさらされているのだから
 
 
 
だれも正解がわからないのだから
 
 
 
だからこそ
思いやりや優しさがある世界に
 
 
 
ぜひご一読ください