影の影 | 想いが伝わる本を書くブログ

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武蔵野デジタル出版社長の牛田肇がモーモーするブログです♪

一仕事終えて帰社する吉祥寺繁華街の裏道で、
 
足元を見ると、夕日にあたった自分の影が地面に延びていた。
 
「ずいぶんくたびれた影だな」と思いながら、
 
ふと同じような影があるのに気がいた。
 
「影が2つ出ることなんてあるのかな?」
 
不思議な現象。誰かの影なのか?
 
後ろを振り返るが、誰もいなかった。
 
この影は私の影に違いない。
 
「この影は何?
 
 私にしか見えない影の影だったりして?」
 
そんな怪奇現象の全てを信じない私は、
 
2番目の影の真後ろを見てみた。
 
すると、建設中の真新しいブランシュビルのガラス張りの壁に
 
もう一つの夕日が、輪郭を鈍くして映っていた。
 
その夕日が、もう一つの私の影をつくり出していたのである。
 
2つの影をよく見ると、元は同じだが、
 
1番目の影は、存在感を示すようないつものシルエットだが、
 
2番目の影は、安物のコピーのように、カスれて、弱弱しい。
 
まるで消えかかっているもう一人の自分のようだ。
 
やっぱり複写はそんなものだ。
 
でも、複写の影も自分の影。
 
再び、擦れた自分の影の影に会えるはいつだろう。