『中原の虹』 (全4巻)
浅田 次郎(あさだ じろう)
面白さ ★★★★☆(ホシ四つ)
大河小説、憧れの満州馬賊の面白さ
作者/浅田次郎について
1951年、東京都生まれ。
自衛隊に入隊、のちアパレル業界他多数の職業を経験。
その間、投稿生活を続ける。
悪漢小説からスタートし、泣かせる小説から中国小説まで、
さまざまなジャンルの小説を書きまくる。
多筆で、日本の大衆小説を代表する作家である。
1995年 - 『地下鉄に乗って』で第16回吉川英治文学新人賞
1997年 - 「鉄道員」で第16回日本冒険小説協会大賞特別賞。
『鉄道員』で第117回直木賞
2000年 - 『壬生義士伝』で第13回柴田錬三郎賞。ベストドレッサー賞
2006年 - 『お腹召しませ』で第1回中央公論文芸賞と第10回司馬遼太郎賞
2008年 - 『中原の虹』で第42回吉川英治文学賞
【この本の内容】
『蒼穹の昴』の続編です。
先に『蒼穹の昴』を読んでからこの本を読むと更に面白さが倍加します。
今回の主人公は、張作霖(チャンヅォリン)とそれを取り巻く人々です。
流民の子、張作霖(チャンヅォリン)は、老占い師に「汝、満州の王者たれ」
との予言を受け、天命を持つものだけが手に入れられる龍玉を、
太祖ヌルハチの墓で手に入れる。
そこから張作霖(チャンヅォリン)の快進撃が始まり、
やがて民衆から「東北王(トンペイワン)」いわれるようになります。
李春雷(リイチュンレイ)は、幼いころ、貧しさに耐えかねて、
家族(幼い弟妹)をすてて、家を出て馬賊になっていた。
あるとき、浪人市場で張作霖(チャンヅォリン)に買われ、
彼の馬賊に仲間入りする。
李春雷(リイチュンレイ)は、春児(チュンル)と呼ばれる李春雲(リイチュンユン)
の兄だったのです。
物語は、西太后(シータイホウ)の逝去から、その後の激動の時代を
多彩な登場人物の人生を絡ませながら、活写していきます。
その間口の広さ、奥行きの深さは、さすが作者の力量のすごさだと思います。
この作品で、吉川英治文学賞を受賞したのもうなずけます。
この本の中で特に印象に残った言葉を列記します。
①「祝健康弟兄 壮楊兵馬」(チュージェンカンティション チョアンヤンピンマア)
兄弟の健康を祝す、兵馬を壮楊せよ。
満州馬賊の仁義ですね。
この本では、満州馬賊が活き活きと描かれています。
②「没法子 没有法子」(メイファーツ メイヨーファーツ)
どうしようもないなー。というあきらめの口癖(言葉)
この言葉を中国の民衆から取り去るために、
張作霖(チャンヅォリン)は、戦うんですね。
「俺様は、神でも仏でもない 張作霖だ」と言う
張作霖(チャンヅォリン)のアイデンティティは、
貧乏人による革命精神にあります。
③「わが勲(いさしお)は民の平安」
太祖ヌルハチから始まる愛新覚羅一族の基本的な考え。
民の平安を真に願う者に龍玉を持つ資格があります。
代善(ダイシャン)礼親王が、あえて山海関を越えて明を破ったのも
民の平安を願うこの思想によるものです。
この小説では、清朝を打ち立てた過去の時代と
東北から中央を目指す張作霖(チャンヅォリン)の今の時代とを
織り交ぜながら、話を進めていきます。
ということで、とにかく読んで面白い小説です。
この本を読めば、あなたも明日からは、満州馬賊の一員です。
「祝健康弟兄 壮楊兵馬」(チュージェンカンティション チョアンヤンピンマア)
ぜひ一読ください。
全4巻、あっという間に読み終わることでしょう。
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