辞書から消えたことわざ (角川SSC新書)/KADOKAWA / 角川マガジンズ

ことわざは絶妙なる譬えを有する面白おかしい「庶民哲学」です。
日本には古代から現代まで50,000以上のことわざがあることがわかっています。
もちろん、世界の国々にもあります。
世界の言語の数は3,000とも5,000ともいわれ、そのほとんどの言語にことわざがあると推測されています。
事実、ドイツには300,000を収録する辞典もあることから推測すれば、世界のことわざの総数は計り知れません。
ことわざに関する辞典は日本だけでも何百もありますし、40,000を超える語句を収載したものもあります。
しかし、実際はどれにも載っていないことわざも少なからずあり、その数は優に数千に及ぶとも言われています。
本書は、種々の文献に埋もれたまま忘れ去られていると思われることわざを掘り起こし、その中から選りすぐったものや、ことわざと認知されるものの現代人の目に触れる度合いの少ない句を約200ほど紹介しています。
ことわざは一字一句も変化しない固定した言い回しが伝承されると思われるかもしれませんが、実際は大違いで、多くは長い年月のうちに語句が短くなったり、反対に長くなったり、意味が変わるものが出たり、微妙に異なるバリエーションを派生したり、死滅して別のことわざに取って代わられたりしてきたのがことわざという歴史の断面なのです。
むしろ、輪廻転生のごとく生死を流転するかのごとく生き続けるのがことわざです。
こうしたことわざの歴史の中で、なぜか理由は分からぬまま忘れられた珠玉のようなことわざが、本書の陣容となる語句です。
本書に取り上げた語句は、是非とも後世に伝え遺したいものばかりで、いわば、生命体として歴史の襞(ひだ)に潜んだ眠れることわざといえるものです。
予期せずたまたま私たちの目に止まったことわざ達ですが、彼らが是非とも眠りから覚め、新しい道を歩みだしてもらいたいと願うばかりです。
消えてしまうには惜しいことわざに再び命を吹き込む一冊。
踏まれた草にも花は咲く