橋をかける (文春文庫)/文藝春秋

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インドのニューデリーで開催された国際児童図書評議会と、
スイスのバーゼル市で開催されたIBBY五十周年記念大会での、
皇后 美智子さまの講演が収録されている。
皇后 美智子さまが、子供たちの希望と平和のために語った数々のお言葉。
「これを聞くためだけに、はるばるインドまで来た甲斐があった」
と言うアメリカ人がいたほど、内容は文句なしに素晴らしい。
美智子さまは、一国の神話や伝説がお好きなようで、
子供時代からたいそう読んでいたそうだ。
これに民話の世界を加えると、それぞれの国や地域の人々が、
どのような自然観や生死観を持っていたか、何を尊び、何を恐れたか、どのような想像力を持っていたか等が、うっすらと感じられるという。
「赤ノッポ青ノッポという本をくり返しくり返し読み、
かなり乱暴な『鬼語』に熟達しました」
という子供時代の読書の思い出は、大変面白く読ませていただきました。
美智子さまにとって、読書とは、
自分に根っこを与え、ある時には翼を与えてくれたものだという。
この根っこと翼は、外に、内に、橋をかけ、
自分の世界を少しずつ広げて育っていくときに、
大きな助けとなったそうだ。
人生の全てが、決して単純ではないこと。
私たちは、複雑さに耐えて生きていかなければならないということ。
を、読書から教わったと、美智子さまは語っている。
この皇后さまの講演は、
自己の内面を語りながら、世界の人々の胸に届く普遍性を有したお言葉であったように思う。
すべてのことに時がある。そして、時に適ったことは美しい。
皇后 美智子さまにとり、これはまさに、一つの「時」だったのでしょう。
竹内てるよさんの「頬」という非常に素晴らしい一編の詩が掲載されているが、それだけでも読む価値のある至極の一冊。