子どもの頃からずっと、自分とは違うタイプの人と友達になるのが好きだった。

思いもしない事を言われた時の、常識がぐにゃりと曲がる感覚が好きだった。

これが好奇心から来る感覚なのか、それともただの自己嫌悪の表れなのかは、未だによくわからない。

 

 

 

でも若い時の友達づくりの肝は、自分と同質の人間を(できるだけ早く)集める事だったりもして。

赤川次郎の小説に出てきそうなローファーが似合う女の子と、髪の毛まっキンキンのやんちゃそうなおねえさんが連れだって歩いてるのはあんまり見た事ない。

 

 

 

それに比べて大人になってからの付き合いは、その気になりさえすればもう少し自由ですね。

単純に自分の世界に飽きてくるだけなのかもしれないけれど。

不安にならない程度に目新しい事を持ってきてくれる人を、「新鮮」とかいって珍重するようになる。

 

 

 

手の内がわからない者同士の付き合いだから、大人になってからの人間関係の深まりは亀の歩み。

そこを理解せずに焦って関係を深めようとすると、ただの無礼な人で終わってしまうからご用心。

お互い礼儀がある人だって判断できるまで、十年とか掛けちゃえるのが大人の強み。

 

 

 

『あまからカルテット』の主人公は、子どもの頃からの仲良し四人組。

それぞれ毛色が違う女の子たちが、お互いの良さを認め合えてるところが素敵なんです。

そういうの理想的だなぁと思う。

 

 

 

 

 

 

 

ついでにこの本の中に出てくる、実在するデザートも紹介しときます。

てまりみかん。

成城石井が近くにある人はそっちで買ったほうが送料かからないからいいかな。

私は残念ながら近所にないからお取り寄せしましたが。

 

 

 

ピン球よりちょっと大きいくらいのみかんが6~7個、まるいまま入ってるシロップ漬け。

とにかく可愛い。

ほんとに手毬みたいに見えるように、瓶の中でちゃんと角度を微調整してるのがわかりました。

インスタとかする人が好きそう。

実名で小説に書いたくらいだから、著者の柚木麻子さんはよっぽどこれが好きなんだろうな。

 

 

 

てまりみかんが登場するのは、四人組の中の一人が元気なくなっちゃった時。

他の三人が友達を元気づけるために慰労会をするんだけど、その時のごちそうの中にこのてまりみかんもあったんですよ。

私もだれかの誕生日なんかにひょいと、この本とみかんをセットにして送ってみようかなと思ってる。