こんな風に忌憚なく意見を言い合っても仲良くできるなんて、心の底から羨ましいなって。

そういう友達が私にも居たらいいのになって、中村うさぎさんとマツコ・デラックスさんの関係に憧れ続けた20代でした。

思えば10代の頃から、「アイドルのなんとか君がかっこいい」みたいな、誰としても変わらないような会話には興味がない子でした。

「人生とはなんだと思う?」とか、「モットーは何?」とか、その相手からじゃなければ聞けない話が聞きたかった。

そういう話をする事で、人に愛着というものを持ってみたかったんですよね。

 

 

 

そんな孤独な若者だった私も今はおかげさまで、たまには真面目に語り合える人が居て。

日常に満足してたせいか、しばらくこの本開いてなかったんですよね。

今パラパラ読んでみると、懐かしくてせつなくて。

誰と一緒に居ても孤独で潰されそうだった頃の事を思い出すんですよね。

 

 

 

こういう言い方をすると今は孤独じゃないみたいに聞こえるかもしれないけど、そんな事はなく。

むしろ、いろんな別れを繰り返して、この世の何もかもは有限な事を知った。

人は本質的に孤独な生き物だって事も知った。

人が人を理解する事の限界を知った。

だからせつなさは若い頃よりも増えたかもしれません。

 

 

 

それでも今立ってられるのは、なんとか自分の気持ちに決着をつけようと、毎晩この本を開いてた日々の記憶があるからかな。

理解とか救いとか、そんなものは必ずしも目一杯頑張ってる時に訪れるわけじゃなかったのが不思議というか、ちょっと意地悪に感じます。(笑)

若い時、私は今よりうんと真面目だったけど、その真面目さと引き換えに、その頃よりもゆるせる事が増えました。

 

 

 

若かったあの頃欲しくてたまらなかったものが今、手の中にあるんだ、って。

そう思いながら読み返すこの本はまた、ノスタルジックでセンチメンタルでね。

思わず、幸せなため息が出てしまうのです。