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『64』
横山秀夫
photo:01




今回もお仕事小説です。舞台はD県警広報室。県警の対マスコミの広報を担当する広報官:三上さんが主人公です。

また、と書いたのは、以前に紹介した半沢シリーズを意識してのことです。半沢シリーズは、銀行で一線を行く営業マンが巨大組織の中で奮闘する、いわば王道の勧善懲悪物語でした。

一方の本作は、リアリティ溢れる組織の内面を描く、という点は半沢シリーズと共通していますが、警察モノの花形であろう刑事ではなく報道官にスポットが当てられています。


まず、広報官という立ち位置を巡る三上の葛藤。刑事に戻りたい…という想いが消せず、現在の自分を肯定できない、彼の屈曲した内面とその葛藤が余すところなく描かれています。

次に、三上の見えないところで動く、警察組織の陰謀の複雑さ。昭和64年に発生した誘拐事件をめぐり、各々の思惑が交錯します。

最後に、ありとあらゆるところに張り巡らされている伏線。筆者の力量に対し、流石と言うことしかできません。


これらの理由で、なかなかページが進みません。ただでさえ分厚いハードカバーの作品なのですが、その一文一文、一言一句を噛み砕くには、脳をフル回転させながら読まなければなりませんでした。さらっと事件のカギが書かれていたりするので、ページを捲った後で、『…?!え!!』となって前のページに戻るなんてことが数回ありました。読後はかなりの疲労感に襲われました。


ずっしり重い、犯人探し以上に『人間』に焦点を当てた警察モノが読みたい!という方、多少パワーはいりますが、一度読んでみてください。


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