この本、少し概念が古い、且つ実務非経験者による、論文読み漁りの所見レベル

解決は個人にやらせるしかない、でも具体的な組織論の提示無し、って感じ

外部との調整(情報収集)より、社内の調整が出来る人のほうが偉かった、に尽きる

 

  • オープン・イノベーションの概念

    • その時点でベストと考えられる相手との技術流出入

    • まったく新しい結びつきによる知識の連結

    • 本書での定義

      • オープン化戦略を扱い、価値を創造し獲得するための、企業外部にオープンする領域の決定とその領域のマネジメントに関するシナリオ、と定義する

      • 戦略なき開発のオープン化は、高い経営効果には結び付きがたい

        • これは、オープン・ビジネスモデル、価値と創造の獲得のメカニズム、に相当する(P&Gのようにマーケ&流通など強いメカニズムを生かすこと)

        • 何が違うのか、よくわからんが、、、

      • 起業集合体レベルで戦略性のないもの、産業集積や系列システム(特定企業による戦略に基づくとは考えにくい)、開発コミュニティー(自然発生)

 

  • 米国におけるオープン化経営

    • 19世紀後半~20世紀初頭「オープン化」→20世紀後半「クローズ化」→現在「オープン化」

    • WW1までは、欧州から製品や技術を導入し個人から技術を買うことも行っていた

    • ところが20世紀前半、AT&Tのベル研究所やゼロックスのパロアルト研究所のように、基礎研究所を社内にもち、技術開発から生産まで一貫して社内へ

 

  • 他方日本においては

    • 人材・販売チャンネル・下請けなどを自社の占有経営資源として囲い込み

    • そのため、オープン型経営には

      • 囲い込みによる成功の忘却と

      • 雇用の流動化が課題となる

 

  • オープン化の背景

    • 米国では補完的企業となるベンチャーと、VCの増加

      • 補完的資産、OSやアプリ、無線ネットワーク、など

      • ユーザーイノベーション、従来形式化されておらず移転が困難なユーザー固有の知識を生かして生きた → Linuxなどユーザー自身によるイノベーションが促進

    • 知財制度の確立や標準化とともに、技術の市場の形成が進んだ

    • 並行してモジュラー化、水平分業化

    • 企業外部との調整コストが低くなった

      • コストが十分に下がっていないと、系列やサプライヤーシステムのように、特定企業間の取引となる(日本の自動車産業とか)

 

  • エコシステム

    • コアとなるリソースのコントロールが集権的=プラットフォーム

    • 分散的=コミュニティー

    • 多数を占めているのがニッチプレーヤー、強力なプラットフォームを利用しながら、狭い専門領域に自社の事業を集中させる

  • 大阪ガス

    • 6つに分けてアプローチ

    • 大手・中堅企業(140社)には個別アライアンス会議

    • 中小企業には、地方行政、商工会議所、中小企業整備機構、経済産業省と連携したビジネスマッチング(会)を行う

    • ベンチャー企業には、ベンチャー官提携コーディネーターとのアライアンス会議

    • 公的研究機関では、産業技術総合研究所やJAXAとアライアンス会議

    • 海外の企業に対しては、技術仲介企業のネットワークを活用

 

  • 市場情報のマネジメント

    • 外部の製品設計、アイデアコンテスト、アイデアの公募といったオープン化の為の手法の利用度や有効性は低い

    • 社内プロセスが十分に成熟していない可能性が指摘できる

      • (コメント)2011年にはそういわれていた、今成功している企業は、このころから試行錯誤を継続できた、或は社内風土が変えられた企業?KDDIとか

 

  • 社内のマネジメント

    • 外部から知識を導入しても、内部で他の知識と再結合にコストがかかる

    • 組織内部で既存の個人間ネットワークが構築されていないと、導入された知識を用いて新しい知識創出も上手くいかない

    • 組織が過去に学習した成果は組織内のネットワーク上に散在しており、組織内部でそれを保持し、他のメンバーがそれにアクセスし、取り出す組織的なメカニズムが必要

      • (コメント)当時は個人に頼る必要があると言っている=文化醸成が大事ということか

      • (コメント)且つ、当時はイントレプレナーの組織論、Top下の権限者、という発想が無いのか?

    • 日本の問題点は要するに

      • 日本の新事業は、比較的自立性を与えられたミドルマネジャーによって組織横断的にコミュニケーションをして実施されてきた

      • 創発的な多角化、つまり内部成長による広範な事業構成となり

      • 結果、日本の大企業の多くには社内に多くの事業を抱えることになり(文脈本当か?)、多角化(フルライン戦略)、垂直的な上下関係、下請け関係が出来る

      • その結果、範囲が広がり過ぎて、内部での調整が機能不全を起こし

      • 内向きの合意形成に過度の資源が割かれることで、環境の変化に適切に対応できなかった

    • 多角化の弊害は、

      • 1つの技術についてよく似た事例の事業を複数抱えている可能性が高く、結果として外部に提供される可能性が小さくなる

      • さらに、使うかどうかわからない技術を提供することに拒否権を有する主体が多くあることを意味している

      • 技術の応用範囲が広いということは、その技術が中核的なものである可能性が高く、全社戦略野のレベルで見ても、外部に提供すべきでないという結論になる可能性が高い

 

  • 企業間ネットワークのマネジメント

    • 組織の共有している記憶は、

      • 手続的記憶

        • 暗黙知に近い、技能や組織ルーチン、地域の顧客に合わせて特別に作り出したノウハウ

      • 陳述的記憶

        • 一般化され、他の状況でも応用しやすく、学習時間の費用も少ない

        • マニュアルなど