モンゴルのゲル | 地球へ途中下車

モンゴルのゲル


今回のモンゴル旅行は、日本住育協会が主催する研修ツアーへの参加でした。


いま、住まいをめぐって、世界中で共通した現象が起こっています。それは伝統的な住居の形態、先祖から受け継がれてきた地域に特有の暮らし方から、労働の変化、家族制度の変化も伴って、人々が遠ざけられ、都市化、近代化するもとでの新しい住まい方のなかで、幸せになるはずが、家族関係が分断したり、崩壊したり、本来、家族を守り育み、家族を幸せにするはずの「家」が、病理の温床になってきた、という現象です。


そんななかで、家族と住居問題を考える人々からいま、注目されているのが、モンゴル遊牧民の住居、ゲルです。


モンゴルは北はロシア、南は中国に接する広大な国土のほとんどが牧草地です。かつては、チンギス・ハーンが世界でもっとも広大な国を築いた遊牧民の国です。わすが面積の首都のウランバートルに人口の半数以上が住んでいますが、都市を少し離れると、緑の草原が延々とひろがり、牛、馬、羊、山羊の放牧で生計をたてる、遊牧民の生活がいまでも続いています。


そして、ゲルという移動式住居の住まいの形態が3000年前から、ほとんど変わることなく、いまもずーっと続いています。

もちろん、電力は必要なので、ソーラーパネルで発電した電気を蓄電し、夜はゲルのなかに灯りが灯り、携帯電話を充電し、洗濯機を使い、パラボラアンテナがあって、ゲルのなかにテレビがある家もあるようです。





年に数回、家畜が食べる新しい草原を求めて移動し、ゲルをたたんで、移動すると移動先でまた組み立てます。4人いれば1~2時間で組み立てられるそうです。


入り口は必ず南に面して設置し、二本の柱で支えて5枚の伸縮性のある壁で取り巻き、まわりを羊の毛のフェルトで覆います。暑いときは下をめくると風が通り、天窓を開けると太陽の光や満点の星空が望めます。真ん中に暖房と調理のためのストーブを設置し、入って正面奥が一家の主人(父親)の場所、右手が主婦(母親)の場所。左手が男の子、右側が女の子の場所と決まっています。



非常にシンプルですが、実に快適な暮らしなのだそうです。


そして、ここには家が本来もつべき、家族にとって大切な要素が詰まっているというのです……

(つづく)






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