第139回直木賞受賞作品。
小さな島で起きた1年分の小さな出来事。
主人公のセイは島で生まれ育ったが、島出身の画家陽介との結婚を期に島に戻り、小学校の保健の先生にな
る。学校の同僚に月江という教師がおり、この月江は「本土さん」と呼ばれる本土で酒屋を営む情夫がいる。
この二人は人目をはばからず、自由奔放な愛を営んでいる。
そこに石和というあまり自分の素性を明かさない独特の雰囲気をもった男が、新しい教師として島にやって来る。
夫とは幸せな生活を送りながら、次第に石和に惹かれていくセイ。
タイトルの「切羽」とは、トンネルが開通する前の行き止まりを表す言葉。
すなわち、夫を持つセイの石和に対する恋を象徴する言葉である。
ある事がきっかけで、月江は石和とも恋に落ちる。
セイの安定した生活を妬む月江、月江の穏やかではないが自由な恋愛をうらやむセイ。
両極的な二人の恋愛が対照的である。
静かな大人の恋愛模様が描かれているが、あまりにも静かすぎて物足りない。
そんな恋愛があってもいいとは思うが、わざわざ時間をかけて読むほどのものではないと思う。