キングを探せ (講談社文庫)
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法月 綸太郎
講談社 (2015-09-15)
売り上げランキング: 176,943
講談社 (2015-09-15)
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<あらすじ>
繁華街のカラオケボックスに集う四人の男。
めいめいに殺意を抱えた彼らの、今日は結団式だった。
目的は一つ、動機から手繰られないようターゲットを取り換えること。
トランプのカードが、誰が誰を殺るか定めていく。
四重交換殺人を企む犯人たちと、法月警視&綸太郎コンビの、熾烈な頭脳戦をご堪能あれ!
※内容について言及(ネタバレ)ございますので、未読の方はご注意ください。
評価:★★★★☆
久々に読みました、法月綸太郎!
過去に何作かは読んだことがあるのですが、
なんとなーく避けていたというか。
これは超偏見とかいわれても仕方のないことですが、
個人的に作者と同名の人物が登場する小説って(辻村深月とか有栖川有栖とか……)
なんか読んでてちょっと引っかかるのが多いというイメージがありまして。
どうしてもむずむずして先に進めないというか。(私だけか……?)
でも、有名な作品だし、四重交換殺人とか、聞いただけで面白そうじゃないですか!
……と、いうわけで久々に法月氏の作品を読んでみた。
結論として、今回はいつもの著者と登場人物が同じであることに対する拒否反応はそれほどなく、
普通にミステリとして楽しむことが出来た。
よくも悪くも、それほど小難しい感じではないので、
だいたい2時間ちょっとで読み終えてしまえるくらいのボリューム。
通勤時間とかに読むのにちょうどいい感じではないでしょうか。
ただ、ミステリとしてはちょっと腑に落ちないというか、
こじつけ感であったり、緊迫感があまり感じられなかったり、
ギミックに凝ってはいるものの、いまいち物足りない感じがしたので★4つにした。
内容としては、見ず知らずの他人同士が交換殺人を計画する、という、シンプルな内容。
ひとつ違うのが、四重であること。
普通の犯罪に関しては、関わる人数は少ないに越したことはないですが、
こと交換殺人に限っては、関わる人間が多いほど、
警察の追求をかわせる可能性は高くなる。
まあ、情報漏洩のリスクとか、玉突き事故のリスクは増大しますが……。
冒頭は、互いをイクルだのりさぴょんだの、ニックネームで呼び合っていて、
いかにも他人同士が悪だくみをしている感じがでていて、
ちょっと歌野晶午さんの密室殺人ゲームシリーズを思い出した。
個人的には、犯人側の視点とか犯行の様子を描くときにも、
本名を明かしたりせず、ニックネームのまま、極力身元を隠す描写にした方が、
色々こっちも邪推とか出来て楽しかったのに、と思った。
犯人側の視点が中心なのは前半部と後半の一部分のみで、
あとは法月親子の推理シーンが殆ど。
もちろん、そういうシリーズなのだから当たり前なのかもしれないけど、
自分は警察側(推理側)を中心に描くよりも、
犯人側を中心に描いた方が、追い詰められていく感じとかでていてもっと面白かったんじゃないかなーと感じた。
あと、ニックネームを折角使ったのだから、
意外な人物がメンバーだったとか、そういうどんでん返し的な展開が隠されているのかと思いきや、犯行を計画したメンバー自体は案外すんなりあかされてそのままだったのも少し不満。
ではこの小説はなにをメインのギミックに据えていたのか、というと、
交換殺人の中で、実は未遂に終わっているものやターゲットが自ら命を絶っている場合があって、
最後残った犯人は、それを利用して自分たちの罪を軽くしようとしている、というところ。
実際に鍵となってくるのがトランプのカード。
犯人たちは、それぞれの殺人詳細を決定する過程で、
トランプをくじ引きに利用しているのですが、
結局はそれがきっかけで交換殺人疑惑が持ち上がったり、
犯人が警察の思い込みを逆手にとったり、と、終盤かなり関わってきます。
ネタバレしてしまうと、
実は四人のメンバーのうち、ひとりは実行前に怖気づいて、殺されていた。
さらに、別のターゲットは、殺しに行ったら自殺していた。
メンバーのうち、一人は粛清、一人は事故死。
残った二人は、自分たちに疑惑が向けられていることを悟り、
捕まらない方法ではなく、罪をいかに軽くするか、という方向に舵を切る、という内容。
自分が不満に感じたのは、交換殺人ではないか、と警察が至るまでには
棚ぼた的転回が多く、途中の犯人の追い詰め方やトリックの見破り方にしても、
いまいち無理やり感が否めないと感じたから。
ともあれ、タイトルの回収といい、
全体を通してはやっぱり有名どころだけあって見事、とても面白かったので、
ミステリ好きな人はぜひ読んでみることをおすすめする。

