本のある生活

「本のある生活」専属書評員たちが、いろんなジャンルの本をレビューします。

好きな書評員にはファンレターを☆


::専属書評員名簿::


■ミネ・・・SFとマンガをこよなく愛する、おうし座O型男。

■ユリ・・・図書館愛好者!かに座A型女。

■つち・・・FC東京と本が命。未年の男。

■ダイキ・・・ミーハー読書家・みずがめ座A型男。

■マーヨ・・・aiko大好き!てんびん座AB型乙女。

■タダオ・・・哲学書を抱えてベースボール。天秤座O型男。


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阿修羅ガール/舞城 王太郎

「三島由紀夫賞」
阿修羅ガール (新潮文庫)/舞城 王太郎
¥580
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舞城王太郎の作品は初挑戦。覆面作家なんですね、この方。ミステリアスでいい感じです。

内容ですが、識者の中でも賛否両論あると聞きましたが、僕は面白いと思いました。いまどきの女子高生の一人称で語られていくストーリーは、ぐいぐいと読ませる力があると思います。

ただ、3部構成のこの作品の真ん中部分に当たる第2部は、好き嫌いが分かれそうな気も。主人公の“夢の世界”を、ファンタジックに(暗いけど)描いたもので、急に現実から離れた世界にジャンプされたせいでちょっと混乱して、正直、僕は一瞬ここで読書を投げ出しそうになりました。

まあ、それでも投げ出さずに最後まで読みきってよかった。アイコの恋の結果も、グルグル魔人の正体もわかったし。

(ミネ)

黄色い目の魚/佐藤 多佳子

「あの頃はよかった」

黄色い目の魚 (新潮文庫)/佐藤 多佳子
¥660
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絵を描くのが好きな男の子と、絵を観るのが好きな女の子の話。

不器用なふたりのまっすぐな気持ちがバシバシと伝わってきていいですね。

青春っていいなあ、やっぱ。
うらやましいなあ。

こういう面白い青春小説を読むと、いつもついつい登場人物に嫉妬してしまっていけませんね。

(ミネ)

隠蔽捜査/今野 敏

「官僚はこうあってほしい」

隠蔽捜査 (新潮文庫 こ 42-3)/今野 敏
¥620
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これは面白い!

警察小説は何となくこれまで敬遠していたけど、この『隠蔽捜査』は読んでよかった。今年に入ってから読んだ本の中でも屈指の面白さでした。

とにかく、主人公の竜崎のキャラが秀逸。警察庁の“キャリア”である彼は、周囲から変人扱いされるほどの筋金入りの「官僚人間」で、心底から「選ばれた人間として国を守る」ことを自分の使命と考えています。正論だけで生きているようなその姿勢が、一本筋が通っていて素晴らしい。

家族のことは妻に任せ切りにして、「俺は国のことを考える。おまえは家のことを考えてくれ」と大真面目に言い放ったり、「あなた、本当に友達いないでしょ」と妻に問われても「いないが、それがどうかしたか?」と堂々と答える、このかっこよさ!熱血キャラやはみ出し者キャラといった刑事ものにありがちな人物造形とは全く違う、この主人公の個性に脱帽です。

物語は、竜崎が公私の両方で大きな事件に巻き込まれていくというものですが、キーワードはともに「隠蔽」。警察の暗部を見せながら、ストーリーはぐいぐいと進んでいきます。後半の部下とのやり取りなど、泣かせの要素もばっちり入っていて、もう、ページをめくる手は全然、止まりません。

ラストも美しく決まり、読後感はすっきり。いい本を読みました。

(ミネ)

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