題名:知的生産性向上システムDIPSWARE―個とチームのマネジメント革新
著者:小林 忠嗣
出版社:ダイヤモンド社 (1996/4/1)

▼読んだきっかけ 
3年ほど前、Twitter(現X)で「新入社員はまずはDIPSを読め」という投稿があり、

結構古い本のようだが、どこかの機会で読もうと思っていました。

関連本が図書館に所蔵されていたため、手に取りました(肝心の「DIPS」は中古を購入。絶版?)。

 

▼本書の特徴的だと思われる点

・他の関連本にも言えるが、著者独自の略称(アルファベット)が多い。かつ、日本語の頭文字だったり英語の頭文字だったりして、覚えるには難があると思われる。

・「保険仕事」(上司から受けた仕事の範囲を超えた領域の仕事のこと)という概念が登場する。

・タイムバジェット、情報の共有化などの重要性が強調されている。

 

▼なるほどと思った点

・「未熟な部下」に対する具体的な対応方法が指摘されている。(P66-67)

(①アクションを列挙、スケジューリングして示す。②誰の力を借りればよいか指示。③チェックするタイミングを予め設定、相談に乗る時間を確保。④重要なこと重要でないことを認識させるため、アクションの所要時間を見積もらせ、チェックする)

・エリート社員たちは「保険仕事」に時間を費やしている=「上司からの指示が常に完全だとは思っていない」。「これは大変大きな問題を内包している事態なのである。」「なんという無駄なことだろうか。」「彼(彼女)らは、上司の指示を信頼していないのである。」(P71-72)

・「チームビルディングの際の留意点、その五」「⑤業績評価は、チーム目標の達成度合いと、そのチームの業績に対するメンバー個人の貢献度合いとをかけ合わせた指標で行わねばならない」(P98-99)

・「タイムバジェットの重要性」「私たちには有限の時間しかない」「効果的に時間を使うということは、効果的に生きるということであり、充実した人生を生きることにほかならない」。(P105)

・情報の共有化について。

「第一〇条 情報の共有化に貢献する行為を組織として高く評価する。」

「第一一条 何人といえども、正当な理由なく、情報の交流や意見の交換の自由を制限してはならない。」(←1ノッチ飛ばして報告する等のことを指している)「必ず『悪貨が良貨を駆逐』し始めることになる」(P147-148)

 

▼感想

・業績評価を、チームの達成度合いと個人の貢献度合いをかけ合わせて実施するという点、

多くの場合、目標設定時点では、個人目標がチーム目標に関連して(させて)設定されるが、評価時点では関連していないのかもしれない。

・P105の「効果的に時間を使うということは、効果的に生きるということであり、充実した人生を生きることにほかならない」は、吉越浩一郎氏の著作以外ではあまり見かけないが(当たり前すぎて指摘していないのであれば良いが。。)、本書でも指摘されていた。

これ以外の箇所では、企業の効率化・生産性向上だけを考えているような印象を受けたが、根底にあるのは人生を充実させようということだったので、読んでいてハッとした。「充実した人生」のためということは、当たり前のことだが、業務効率化を進めるにあたり改めて認識したい。

 

 

 

以上