謹啓  三寒四温の候、皆様におかれましてはますますご清祥の段大慶の至りに存じます。
 
さて、この度弊店開店以来、風雨に耐えてきた看板を付け替えることとなりました。
この看板は店主自らが社運を賭けて一筆書きにて製作しました。こちらの経緯をご説明しますと、
 
- しばし瞑想の後、呼吸を整え筆を置き進めたものの、店名がボード内に収まる事に一抹の不安を感じたあたり、”Maru”が傾いております。
このあたり、筆主の心の乱れが見て取れるかと思います。後尾の”d”と”s”が離れているのは書いた当人ですら今となっては理由が分かりませんが、
当初の予想より後尾の余白が空き過ぎたことに気づき、無意識で余白中央に"s"を置いてしまったという感じでしょうか。
漢字の”丸”に至っては、無事に枠内に店名が収まったことに安堵しハンコを捺したい衝動にかられ実行してしまったアドリブでございます。
 
その後、ペイント生渇きの状態で店主自ら脚立に上り看板を設置。脚立から降りて眺めた看板に驚愕したのは書いた当人だけではなく、一連の様子を窺っていた他のテナント様達でした。これまで至近距離からしか見ていなかったせいか、当人はまずまずの出来だと思っていたものの、離れて下から眺めたらこの惨状がありありと目前に。
 
一体何を始めるのか? との近所の床屋さんからの問いかけに、”おうおうこれじゃ何屋か分からないな”、と気を取り直し再び脚立に登り余白に付け足したのが --- LP Records --- という流れです。その直後、看板の絵づらにたじろんだ家人が店の前のスロープで転倒。全治数週間のけが。
というわけで、開店前から傾いたり転んだりのスタートとなりましたが、途中で経営が傾くより、初めから転んだ状態でスタートする方が気合が入って良いという店主の攻めの経営判断のもと、このズッコケた看板のまま、経営の方も傾きを保ったまま今に至ります。
 
慣れというのは恐ろしいもので、美人は3日で飽きる、何とかは3日で慣れるというのでしょうか、馴染んだ店のランドマークを下ろすとなると、やや寂しさが禁じえませんが、当地TORRANCE市から、壁に直付けの旧式ボックスタイプの看板からモダンな非接触型の浮き看板への変更要請が入り、看板の付け替えを実施することなりました。しばらくは看板無しの状況となりますが、皆様のお越しを心よりお待ち申し上げております。
 
謹白

 

 

捨てるには忍びないので自宅に持ち帰ります。写真後ろの建物は

Starbucksです。

 

車椅子でお越しの方のため、境界段差がスロープ状となっております。ご来店の際は段差にお気をつけください。