英国が生んだアイドルグループ、ベイ・シティ・ローラーズの4thアルバムで1976年9月にリリースされた作品です。

ベイ・シティ・ローラーズは1971年デビュー、1974年に大ヒットを連発。この1976年も英国で2曲のヒットを記録しています。但し、この年に日本でもヒットした "Saturday Night" はアメリカでも1位になる大ヒットでしたが、英国では実はシングルカットされてません。アルバムの売上も英国では1st、2ndは30万枚のプラチナアルバムになってますが、3rdは10万枚のゴールドディスク、今回の4thアルバムは10万枚に到達せず、6万枚のシルバーディスクと徐々に売上を落としている状況でした。

  

 

これ、ジャケットは同じだけど、BOX SET のやつで5枚組のやつだね。このなかにこのアルバムも入ってるはずです。購入の際は確認してね。

 

レコーディングメンバーは

Les McKeown・・・Lead & Backing Vocals

Eric Faulkner・・・Lead Guitar, Backing Vocals, Vocals (A-③)

Stuart "Woody" Wood・・・Bass, Backing Vocals, Vocals (A-③)

Ian Mitchell・・・Rhythm Guitar, Backing Vocals, Lead Vocals (B-⑤)

Derek Longmuir・・・Drums, Percussion, Backing Vocals

前作まで在籍していたアラン・ロングミュアーが脱退し、イアン・ミッチェルが新メンバ-としてクレジットされてます。

プロデューサーは Jimmy Ienner、スリー・ドッグ・ナイト、ラズベリーズ、グランド・ファンク・レイルロードのプロデューサーとして有名ですが、アメリカのミュージシャンのプロデュースが多いのにベイ・シティ・ローラーズとの組み合わせはちょっと異色かな。アメリカでのマーケットを意識した起用かもしれませんね。

 

A-① Let's Pretend (Eric Carmen)

ラズベリーズの2ndアルバムに収録されている作品でシングルカットもされています。この曲はプロデューサーのジミー・イエナーつながりですかね。ラズベリーズのオリジナル曲もジミーのプロデュースになっています。ちょっと選曲ミスかな。もうちょっと元気な曲で良かったんじゃないですかね。ローラーズのアルバムを聴いていると2ndあたりから大人の音楽をやろうとしすぎているように感じてしょうがないんです。ラズベリーズにあった瑞々しさが失われてると思うんですが。

 

ラズベリーズのヴァージョンはこちら

 

A-② You're A Woman (Eric Faulkner, Stuart Wood)

4枚目のアルバムともなるとオリジナル曲の出来が大事ですよね。しっとり聴かせるいい曲です。当時の女性ファンがこういう曲を求めていたのかは僕にはわかりませんけど。

 

A-③ Rock 'N Roller (Faulkner, Wood)

レスリー、エリック、ウッディの3人が歌うライブでは絶対受ける作品。個人的にはこっちの路線を多めでいって欲しかったなあ。この曲シングルになってないんですね、驚きました。ブログで書くことがなければデータ調べることもないのですが知らなくてごめんなさい。

 

A-④ Don't Worry Baby (Brian Wilson, Roger Christian)

ビーチボーイズの1963年の名曲。ロネッツの "Be My Baby" に影響を受けてブライアン・ウィルソン(ビーチボーイズ)が書いた曲ですが、ローラーズには向いてないと思うんですよね。そもそもブライアンのあのファルセットがあっての曲なので、レスリーの狭い音域では厳しいよね。彼らが悪いんじゃなくて、プロデューサーをはじめ制作者側の問題だよね。

 

A-⑤ Yesterday's Hero (Harry Vanda, George Young)

AC/DC のプロデューサーコンビ(どちらも元イージービーツ)が全面的にプロデュースから作詞作曲まで全面的にバックアップしたジョン・ポール・ヤングの1975年デビューアルバムに収録されている曲でシングルにもなっておりオーストラリアで8位のヒット曲となっています。この曲はローラーズのほうが好きだなあ。

 

 

 

B-①My Lisa (Tony Sciuto, Sammy Egorin)

Tony Scuito はアメリカのシンガーソングライターで彼の書き下ろしの作品のようです。この人、西城秀樹にも楽曲を提供しているみたいですね。A面、B面ともに1曲目にソフトな曲を持ってきたのは作為的なものがあったんでしょうね、制作側の。制作者側とローラーズの面々のやりたいことが一致していない気がするんですがどう思いますか?

 

B-② Money Honey (Faulkner, Wood)

全英3位、全米9位のヒット曲でしかも彼らのオリジナル曲です。彼ららしいちょっとハードでポップな作品でこれもライブでは受けそうな作品に仕上がっています。

 

 

B-③ Rock 'N Roll Love Letter (Tim Moore)

この曲は大好き。中3の時好きだった子も大学の時の彼女もこの曲のレコード持ってたなあ。そういう時代だったんですね。作者のティム・ムーアはアメリカのシンガーソングライターで1975年に本人のヴァージョンのシングルがリリースされてますが、ヒットせず。ここでもローラーズとティムも両方を聴き比べてみてね。

ローラーズのほうはTV番組からの映像ですがどの曲もほぼ口パクなのでレコードからそのままのものが動画で観られます。

こちらがティム・ムーアの原曲。

 

B-④ Write A Letter (Wood, Les McKeown, Ian Mitchell)

メンバーによる楽曲で、レスリーが作曲に関わるのはあまり多くないですよね。A-②タイプのしっとりとした曲で前2曲が元気いっぱいの曲だったのでアルバムとしてはこれでいいかな。

 

B-⑤ Dedication (Guy Fletcher, Doug Flett)

作者の Guy Fletcher は英国のシンガーソングライターで共作者の Doug Flett と二人でホリーズ、レイ・チャールズ、トム・ジョーンズ、ジョー・コッカーなど様々なアーティストに楽曲を提供しています。この曲は新メンバーのイアン・ミッチェルがリード・ヴォーカルをとっています。ファンへの挨拶状といったところですかね(すぐ脱退してしまいますが)。イアンのヴォーカルは意外に上手い。少なくともエリックやウッディよりね。彼らより上手いとメンバーにいじめられたんと違うかな、やっかみで。曲はオーケストラにバッチリ脇を固められたものになっています。

 

そうそう、この時期にシングルのみのヒット曲がありました。ここで紹介しておきますね。

 I Only Wanna Be With You (Mike Hawker, Ivoy Raymonde)

1963年にダスティ・スプリングフィールドがヒットさせた曲です。1976年8月から9月にかけてリリースされた作品で英国4位、米国12位を記録、実はこれがベイ・シティ・ローラーズ最後のヒット曲となってしまいます。彼らが実質ヒット曲を出していたのは1974年から1976年のたった3年間なんですよね。プロデューサーもアルバム同様ジミー・イエナーです。この曲はオリジナルもローラーズもどちらの楽曲もいい仕上がりです。華ののある曲とはこういう曲のことですよね。しっかし、この映像のイアン・ミッチェルは可愛いですな、こんな顔で生まれたかった。

 

 

時代はパンクロックにまさに突入する直前。この時代の流れの中でこの音楽性で生き残るのは至難の技だったですよね。プログレだけじゃないんです、絶滅危惧種だったのは。ローラーズの各アルバムには時代を乗り越えようとする課程がみれるんですよね。ローラーズにはほんといい曲がたくさんあるので、本格的ロッカーを自認するあなたにも聴いて欲しいなあ。

 

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