ティア-・ガスのメンバーとアレックス・ハーヴェイが合体して結成されたセンセーショナル・アレックス・ハーヴェイ・バンド(以下SAHBと表記します)。
1972年12月にリリースしたデビューアルバムになります。
メンバーは
Alex Harvey・・・Lead Vocal
Zal Cleminson・・・Lead Guitar
Hugh McKenna・・・Keyboards
Chris Glen・・・Bass
Eddie (Ted) McKenna・・・Drums
ゲストプレイヤーとして
Phil Kenzie・・・Tenor Saxophone
Big Bud's Brass・・・Brass Section
が参加。プロデュースは SAHB 自身でやってます。
A-① Framed (Ritchie Valens)
ザル・クレミンソンのギターがフューチャーされていてティアー・ガスファンには一安心の1曲目。どんな音楽かというと例えるならブルースロックをバックにAC/DCのボン・スコットが歌っている感じです。これでわかるでしょうか。
A-②Hammer Song (Alex Harvey)
ザルのアコースティック&エレクトリックギターとアレックスのヴォーカルのデュオで曲は進行します。後半には情熱的なハードロックに変換。
A-③ Midnight Moses (Harvey)
この曲もギターリフから始まるハードロック。ヴォーカルが個性的なだけにそれを盛り上げるサウンド作りがこのバンドのキモになっています。この曲ではザル・クレミンソンのギターが頑張っています。ザルのギターは跳ねるようなリズム感があって気持ちがいいです。
A-④ Isobel Goudie (Harvey)
part1 My Lady Of The Night
part2 Coitus Interruptus
part3 Virgin And The Hunter
ロックオペラ的な作品。ザル。クレミンソン、クリス・グレン、テッド。マッケンナの3人は明らかにハードロッカー。これにロックっぽくないアレックス・ハーヴェイとヒュー・マッケンナの個性が絡んでいくのがこのバンドの基本のようです。ちょっとキンクスっぽかったりフーのようでもあり演劇風に展開されていきます。
B-① Buff's Bar Blues (Harvey)
ラフなロックンロール。巻き舌連発のヴォーカルとローリングピアノが中心の作品でハードロックとは言い難いですがフェイセズの乗りといえばいいのかな。
B-② I Just Want To Make Love To You (Willie Dixon)
ローリングストーンズやフォガットなどロックバンドが好んでカバーするブルースの定番曲。ロックっぽくないコンビの二人が前の曲に続いて曲をリードします。ザルのワウワウギターソロもたっぷり聴けますがブルースでもハードロックでもない仕上がりかなあ。
B-③ Hole In Her Stocking (Harvey)
キーボードのヒュー・マッケンナの弾くエレクトリックピアノでスタートするハードードロックっぽい作品。この曲の肝はそのエレピとサックスをバックにアレックスが歌うというスタイルをとっていること。ハードロックっぽいとは言ってもいいけどハードロックとは言えない作品です。アレックス・ハーヴェイはこういう曲のほうが得意なんだろうなあ。
B-④ There's No Lights On The Christmas Tree, Mother They're Burning Big Louie Tonight (Jim Condron)
なんだかとても長い曲のタイトルですね。オールディーズをアレンジした作品のようでキンクスに近い感じでしょうか。
B-⑤ St. Anthony (Harvey)
B面は最後の曲になってようやくハードロック登場。どこかすっきりしない音楽性もこのバンドの個性だと思います。ガヤガヤして落ち着きのない曲ですがファズを効かせたオルガンとザクザクしたギターがブリティッシュハードロックらしくて好みのサウンドです。なんかやっとバンドのメンバーが全力出した曲という印象が残ります。
70年代ハードロックのアルバムとしては上級編でここから入ると難解な音楽性でなんじゃこりゃあとなってしまいます。聴けば聴くほど味のあるサウンドなんですがそこまでたどり着くのが大変です。ハードロック組の3人はバンド解散後有名どころに加入したので興味を持つ人も多いと思いますが心して聴いてね。
SAHBですでに取り上げた作品としては
THE SENSATIONAL ALEX HARVEY BAND / SAHB STORIES | さとまるのROCKな日々 (ameblo.jp)