アメリカのハードロックバンド、ジェイムス・ギャングのスタジオ録音としては7枚目の作品です。ジェイムス・ギャングといえばヤードバーズじゃないけど3大ギタリストが在籍していたことで有名です(地味だけど)。後にイーグルスに加入する Joe Walsh、後にゲス・フーに加入する Domenic Troiano、本アルバムのギタリストでこの後みんな大好き Deep Purple に参加する Tommy Bolin となかなかのギタリストを輩出しています。1974年7月にリリースされた作品で、トミー・ボーリンが加入して2枚目のアルバムになります。

メンバーは

Roy Kenner・・・Lead & Backing Vocals

Tommy Bolin・・・Guitar, Lead Vocal (B-②)

Dale Peters・・・Bass, Percussion, Backing Vocals

Jimmy Fox・・・Drums, Percussion, Keyboards, Backing Vocals

ゲストプレイヤーは

Albhy Galuten・・・Synthesaizer (B-④)

プロデュースは

Tom Dowd & JAMES GANG

録音はマイアミのクリテリア・スタジオ。1974年のここでの録音といえばエリック・クラプトンの "461 Ocean Boulverd" が有名ですが同じ頃でしょうか。クラプトンのアルバムの録音が3~4月で、ジェイムス・ギャングのこのアルバムは録音時期はわかりませんが発売がが7月なので可能性は高いかと思われます。さらにプロデュサーも一緒でドラムの Jimmy Fox もクラプトンのこのアルバムに1曲参加しています。

 

A-① Cruisin' Down The Highway (Tommy Bolin, Dale Peters)

70年代前半のアメリカン・ハードロックバンドらしいコードを刻むギターにスライドギターが絡んでいく曲。このスライドがまたトミー・ボーリンらしいね。

 

 

A-② Do It (Bolin, Roy Kenner)

この曲でもスライドギターがいっぱい。トミー・ボーリンはハードロックになるとスライド多用します。ロイ・ケナーらしいファンキーなヴォーカルもグイグイきます。

 

A-③ Wildfire (Bolin, John Tesar)

トミー・ボーリンってこの曲のようなミディアムテンポの作風が多いですよね。ハードロックが得意ではなく、ファンクっぽい曲が好きというのがいくつかの彼の参加したアルバムを聴いた感想です。

 

A-④ Sleepwalker (Bolin, Tesar)

この時代ならではのバラード。80年代ロックのバラードみたいに甘ったるくなく、ウエストコースト風のサウンドにディストーションのかかったギターをかぶせていくスタイルです。

 

A-⑤ Miami Two-Step (Bolin. Peters, Jimmy Fox)

デイル・ピーターズとジミー・フォックスが曲作りに参加したカントリースタイルの作品。ヴォーカルレスの短い曲です。

 

B-① a) Praylude (Bolin)

アメリカンロックに詳しくない僕がこの曲を表現するとスティーリーダン的かな。ファンの人ごめんなさい。

   b) Red Skies (Bolin)

Deep Purple の "Dealer"に似ているかな。もちろんこちらの曲のほうが先に発表されてるんですけど。同じボーリンの曲だしね。

 

B-② Spanish Lover (Bolin, Jeff Cook)

トミーボーリン自ら歌っている曲。静かな作品でトミー・ボーリンだけが目立つね。

 

B-③ Summer Breezes (Bolin)

ギターなんかはドゥービーブラザーズ風(スライドギターは別として)というかどっかで聴いたことがあるようなサウンドです。う~ん、思い出せません。ただ、この曲なんか特にそうなんだけど大きな音で聴くのと小さな音で聴くのでは全然印象が違います。大きな音で聴いてほしいです。アメリカのバンドによくある音ですよね。

 

 

B-④ Head Above The Water (Bolin, Peters)

全曲通して思いっきり歪んだギターがイントロに登場しないアメリカらしいバンドです。もちろんどっかでハードロックらしいギターも聴けるんですけどね。ジェイムス・ギャングのどの時代もそういう曲が多く、いろんなジャンルのスタイルが混じっているのが特徴なのかな。

 

 

 

同じトミー・ボーリンが参加しているアルバムをハードロックとして聴いた場合はディープ・パープルの "Come Taste The Band" のほうがにぎやかで派手な音してます。本アルバムでは弾きまくっている印象はないです。でもボーリンの本質はこっちのほうかな。ビリー・コブハムの "Spectram" やパープルでの彼のプレイはそのバンドに合わせている感じがします。

ちなみにボーリンが参加しているジェイムス・ギャングの2枚のうちどちらがお薦めかといえばこのアルバムのほうかな。もう一つのアルバム "Bang" はよりハードロックの要素が少ないので。あくまでも僕はハードロック寄りの人間なので仕方がないです。まあ、ジェイムス・ギャングのアルバムはどれも好きですけどね。