ゲイリー・ムーアのハードロック・アルバムとしては最後の作品です。1989年にリリースされました。前作『Wild Frontier』が傑作アルバムだったのですが、本作はどちらかというと前々作『Run For Cover』に近い仕上がりかなあ~。
レコーディングメンバーですが、下記の4人を基本として、
Gary Mooore・・・Guitar, Vocals
Neil Carter・・・Fairlight Programming (①⑪), Keyboards (②③⑤⑦⑩), Backing Vocals (②③⑤⑦⑩)
Bob Daisley・・・Bass (②③④⑤⑦⑧⑨⑩)
Cozy Powell・・・Drums (④⑤⑥⑦⑧⑨)
ゲスト・プレイヤーとしては以下の方々が参加。
Charlie Morgan・・・Drums (②)
Simon Phillips・・・Drums (③⑩)
Andy Richards・・・Keyboards (②⑩), Fairlight Programming (②⑩)
Don Airey・・・Keyboards (⑥⑦⑧)
Laurence Cottle・・・Bass (⑥)
Steve Piggott・・・Sequence Bass (⑨)
Andrew Eldrich・・・Backing Vocals (②③⑩)
Chris Thompson・・・Backing Vocals (②⑤⑨), Strings (⑤)
Ozzy Osbourne・・・Lead Vocal (⑤), Backing Vocals (③)
Sam Brown・・・Backing Vocals (⑨)
Miriam Stockley・・・Backing Vocals (⑨), Strings (⑨)
①Dunluce (Part 1) (Gary Moore)
ゲイリーとニール・カーターによるインストゥルメンタルの小曲。アイリッシュな雰囲気があって好きな人にはたまらないオープニングになってます。
②After The War (Moore)
ヘリコプターのSEからのハードロック。Aメロの頭は故フィル・リノットが歌うとピッタリかなと思わせるメロディ。曲の出来はアルバムのなかではトップクラスの出来かな。ギターソロもかっこいいですね。プロモはコージーも写っていて楽しいです。
③Speak For Yourself (Moore, Neil Carter)
細かく刻むリフの部分は、彼のギターのフォロワーと似た感じになってます。89年というと、ブームだったハードロックもそろそろ下火になる頃。ドラムの音が軽いなあと思ったらサイモン・フィリップスなんですよね。ハードロックには向いていないと思うんですけど、けっこう色んなハードロック・アルバムに登場しますよね。
④Livin' On Dreams (Moore)
すんげぇー普通のハードロック。ドラムがコージー・パウエルである必要があるのかなあ、と思ってしまう作品。
⑤Led Clones (Moore, Carter)
レッド・ツェッペリンのフォロワーに向けた強烈な一発。ターゲットはもちろんキングダム・カムですね。しっかし、ゲイリー・ムーア、オジー・オズボーン、コージー・パウエルというベテランが揃って若手いじめをしなくてもいいのでは?大人げない。作品としては楽しめるものになってますが、ZEPっぽいのはシンゼぐらい。どちらかというとキングダム・カムっぽかったりします。よく聴くと、ZEPのいろんなフレーズが散りばめられて楽しいですよ。
⑥The Messiah Will Come Again (Roy Buchanan)
70年代に活躍したギタリスト、ロイ・ブキャナンの名曲をカバー。この曲はCDのみに収録されていて、今でいうボーナス・トラックといったところかな。他の曲と毛色が違っていて浮いてる感じもあります。
⑦Running From The Storm (Moore)
“Out In The Field”的な作品。いい曲なんだけどなんか物足りなくもあります。ゲイリーのハードロックの限界を感じてしまう作品。マンネリかなあ。あっ、普通に聴くと十分カッコいいんですよ。欲張りなんです、リスナーは。
⑧This Thing Called Love (Moore)
ゲイリー、コージー、ドン・エイリー、ボブ・ディズレーという最高なメンツでの作品。考えてみればゲイリー以外はレインボーにいたことがある人たちなんですね。このメンバーならもっと重厚な作品を残して欲しかったな。いかしたハードロックですよ、文句言ってますが。
⑨Ready For Love (Moore)
ちょっとポップな一面もある作品。女性コーラスも入ってるし。
⑩Blood Of Emeralds (Moore, Carter)
ゲイリー得意のアイリッシュでドラマチックな作品。この手のメロディのロックやらせると天下一品ですな。前作のアルバムに一番近い曲。8分を超える作品ですが、長さを感じさせない佳曲。
⑪Dunluce (Part 2) (Moore)
1曲目と同じ小曲。最初と最後でアルバムの統一感を出しています。但し、どちらもレコードには収録されていないそうです。
録音途中で、コージー・パウエルが脱退。コージー曰く「ドラムに指示しすぎる」、「それならドラム・マシーンを使えば!」と言ったとか。コージー参加のニュースには期待したんですけどね。
いろんなメンバーが参加しているせいかもしれませんが、散漫な印象が残ってしまうアルバムです。いい曲がけっこう入ってるんだけど、もうひとつな作品の出来がね、残念です。ゲイリーはこの後、ブルースの世界に行ってしまいます。う~ん。