最近、プログレが少ないって?いやいやこれからの寒い時期が旬でしょう。関東の夏にプログレは無理です。

 

ということで今回は、元イエスのギタリスト、ピーター・バンクスが結成したフラッシュの1stアルバムで1972年2月にリリースされた作品です。音は聴いたことが無くても、ヒプノシスによるパンチラ・ジャケットを我々の世代のロック・ファンなら見たことがあると思うんですが。

 

メンバーは

Peter Banks・・・Electric, Acoustic, Spanish Guitars, Synthesizer, Horn, Backing Vocals

Chris Carter・・・Lead Vocals, Percussion

Ray Bennett・・・Bass, Backing Vocals, Lead Vocals, Acoustic Guitar (A-②)

Mike Hough・・・Drums, Percussion, Cymbals, Voice

ゲスト・プレイヤーとして

Tony Laye・・・Synthesizer, Hammond Organ, Piano

ギターのピーター・バンクスとゲストのトニー・ケイはイエス・オリジナルメンバーの二人。これだけでも充分興味が湧きますよね。

 

 

A-①Small Beginnings (Peter Banks, Colin Carter)

この曲っていうか全体にそうなんだけど、イエスをかなり意識してます。オルガンソロやギターのヴァイオリン奏法とか、エンディングのコーラスなんかもうね、こちらに伝わってきちゃうんですよ。ピーター・バンクスかなり頑張ってます。辞めたバンドが売れるって、どんな気持ちなんでしょうね。そんな怨念がこもっている渾身の1曲。

 

A-②Morning Haze (Ray Bennett)

この曲のヴォーカルはレイ・ベネットなのでしょうか。他の曲と声が違います。実はこのアルバムでは彼の作品のほうが出来が良い気がします。アコースティックな曲で、僕は好き。あんまりプログレっぽくはないけど。ブリティッシュ・ロックな作品です。ピーター・バンクスのアゴギなかなかですよ。

 

A-③Children Of The Universe (Bennett)

ヴォーカルの感じにウィッシュボーン・アッシュの影が。なるほど、プロデューサーがウィッシュボーン・アッシュの初期のアルバムを担当していたデレク・ローレンスなんですね。なんと、この曲、映像あるんですよね。個人的にはこのアルバムのベストな作品かなあ。なかなかよくできた曲ですよ。

 

 

B-①Dreams Of Heaven (Banks, Carter)

このアルバムいいんですけど、強いて言えばB面がちょっとA面に比べてつまんないかな。組曲なんだけどその1曲、1曲のメロディがもうひとつなんですよね。出だしのアコースティックギターなんていい感じで、そこからの全員での演奏、ヴォーカルへの流れも文句なし。中盤からがね...。70年代後半のプログレハードなバンドみたいなところもあります。大物プログレバンドにはないB級っぽさが好きな方には受けるかも。それにしても、コーラスがイエスというよりもウィッシュボーン・アッシュなんだよな。

 

B-②The Time It Takes (Banks, Carter)

ゆったり始まる曲で、この曲はイエスっぽくないです。淡々としていてこの後どうなるんだろうと思っているうちに終わってしまいます。この辺は展開の多いプログレバンドの聴きすぎでしょうか。プログレ好きの悪い癖ですね。いい曲なんだけど、どうしてもね、期待しちゃいます。

 

 

僕はプログレの曲数はこのぐらい(1枚に5曲)が好きです。長すぎでもなく短くてあっけなくもないちょうどよい長さ。片面1曲はかなり苦手。この辺が僕がプログレマニアでないと言われてしまうところかもしれません。でもね、僕はこのアルバム好きなんですよ。今年、中古で購入したんですが、もちろんヘビロテ。今年一番聴いたプログレではないかな。なんかね、元イエスの二人の意地みたいなのが見事に音楽に昇華されてるような気がするんです。

 

こういう背景(元いたバンドへの意地!)のバンドって、最初の1枚目はいいんですよね。例えば、キャプテン・ビヨンドとかね。ただね、それが続かないんだよね。人間の意地と、その意地からくる製作意欲ってそう長くはもたないんだね、きっと。