テギョンの隠し事 | 美男ですね!~もしものお話~

テギョンの隠し事

「もしもし~!オッパー!愛しのジアよ!」
ミニョの携帯を奪い、話し始めたジア。
テギョンは、急にジアの声が聞こえ、眉間にシワが一気に寄った。「な、なんで、お前が出る!」
テギョンは驚いた。
「ん、もう!昨日携帯忘れたから、わざわざ届けに来たんじゃない!オッパー、早く来て!それともそっちに行っていい?」
「来るな!ミニョに携帯渡しておけ。」
「オッパ~、嫌!」
「ジア!」
ミニョは、電話越しでもテギョンの苛立ちが分かった。しかも"ジア"と聞いて、ようやくテギョンのドラマのヒロインだと分かった。だからって、どうして携帯を忘れたんだろうて疑問に思った。
"テギョンさんは几帳面だから、滅多に忘れたりしないのに…やっぱり多忙だから疲れてたのかな?"
そんな事を考えていると、憮然としたジアが携帯をミニョに差し出した。
「オッパーが、あなたに代われって。」
ミニョはなんだかドキドキしてきた。
「はい、代わりました。」
「ミニョ、すまん、ジアから携帯を預かっておいてくれ。」
「でも今日は必要なのでは?」
「もうすぐ撮影だろ、俺は午後からだから、行く前にお前の所寄る。」
「でも…」
「それに…その、テジトッギの顔もみたいし…。」
「テギョンさん…」
テギョンからそんな事を言われたミニョは、つい嬉しくなり顔がほころんでいた。
「分かりました、預かっておきますね。では後で。」
「すまないな。」
そう言って、電話を切った。
ジアはミニョ様子を見ていて、いらついていた。しかし、最後に見せたミニョの笑顔で、ミニョとテギョンの関係を察し、気にくわなかった。

「すみません、ジア…さん?私が携帯を預かる事になりましたので。」
ミニョは何となく弱気に言った。ジアは憮然としたまま、携帯をミニョに渡した。
「あなた…誰!?」ジアが聞くと、ミニョは慌てて答えた。
「すみません。コ・ミニョと言います。」
「ミニョ…?ミニョ…。もしかしして一時期A.N.JELLと一緒にいた?」
「はい、そうです。」
「どうして?あなたテギョンさんと何かあるの?じゃなきゃ、辞めたはずの人がどうしてテギョンさんの周りをうろつくのよ。」
突然の対抗心を向けられミニョは、びっくりし縮こまった。
「それは…その…」
ミニョはなんて言って答えたら良いのか困った。
「あなた、テギョンさんとコネがあるんでしょ?寝たの?」
「?なんて!」
「じゃなきゃ、あなたみたいな人側に置かないでしょ!」
「テギョンさんはそんな人ではありません!」
「うそよ!ねぇ、どんなのが好きなの?今度ベットシーンだから、参考に教えなさいよ!」
「…えっ?ベット……」
「あら?聞いてないの?マネージャーなら当然知ってるでしょ!ねぇ、だから、教えなさいよ!」
「…すみません…私…もう行かないと。」
そう言って、ミニョはその場所から早く立ち去りたかった。けど、思うように体が動いてくれなかった。まるで足枷を付けているようだった。
そんなミニョの後ろで、今だにマネージャーだと思い込んでいるジアが騒いでいた。

"こんな業界だし、シナリオなら尚更仕方のない事なのに…"
ミニョは自分に言い聞かせていたが、頭と心がばらばらに、働いていた。
"仕方がないって…分かってるのに…なんで胸がチクチクするの"
ミニョは握った右手で自分の胸をトントンと叩いた。ふと気付くと、目からは涙がこぼれていた。