何もない。

けどある。


あるけど、それは幻のように、

あるとないを併せ持ったものなのだ。


あるともないとも言えない。


あると思えばあるし、

ないと思えばない。


全てがそんな感じ。



見て、聞いて、嗅いで、触って、味わって、

そうだと感じるその感覚も対象も、

それらを裏付けるあらゆるデータも、

そこから導きだされる思考も、

その何もかもが、


ある、けどない。


いわゆる量子揺らぎってやつ。



全ては夢。全ては幻。



ないと分かっているのに、

それでも在ることに、

どこまで信じきっているのかと、

自分に驚くわけですわ。


そしてそれはとても微笑ましい。


あー、こんなに信じちゃってて、

かわいいなぁ、などと思う。



ないのにね。


あるけどさ。



でもない。


なーんにもない。