ふと、


ああ、人類は、どれだけ救われることを望んできたろうかと思った。


そして、


ああ、救われたかったんだなぁと思った。


そして、


救われる、報われる、終わる、ということの対比に、

救われない、報われない、終わらない、という感覚があるのだな、と。


救われない と 救われる の間に、

いったいどれだけの意識を詰め込んだことか。


絶望 と 希望 の間に、
どれだけの意識の層があることか。


この喜怒哀楽のグラデーションは、
色彩のようで、音楽のようで、香りのようで、
万華鏡のようにくるくると廻るのだ。


ある と ない の間をくるくると廻るのだ。


その永遠の物語の、なんと壮大で、儚いことよ。


奇跡の星、地球。




真っ黒な宇宙に、美しく浮かぶ、
その愛しさよ。



その確かさたるや。




なんと味わい深いことか。




そして私は今日も今日とて、
デッキの下から

「かーちゃん!ぼく登れません!」と吠える豆太の、

お手伝いに行くのだった。