こんにちは
先日ご紹介した
マイケル・モズリー著の
「The Clever Guts Diet」ですが、
著者自身が
医者であり、
BBCのテレビにも番組を
持っていたこともあって、
色々な研究者に会い
腸にかかわらず、
色んな医学に関する
情報交換を
していました。
その関係上、
上記の著書にも
研究者たちが
自分の身体で人体実験した
数々の
涙ぐましいけど
クスッと笑うような話が
挿入されています。
このシリーズでは
そこに出てきた
研究者のお話を
イラストをまじえて
ご紹介していこうと思います。
まず一回目は
この方
Barry Marshall (1951-)
(バリー・マーシャル、医師)
のお話です。
胃潰瘍。
1980頃までは
胃潰瘍はストレスから生じると
考えられていました。
ストレスが胃酸を過多に
排出させることによって
潰瘍ができ、
完治は無理だと
考えられていました。
その当時の医者の
患者に対するアドバイスはー
・ストレスを軽減した生活に
変える
・刺激物を食べるのを控える
そして
胃酸を少なくする薬を
患者に処方するのが
常でした。
それでも効果がない場合は、
(もちろんそれが普通であった)
手術によって
胃の一部を切除したりする場合も
あったのです。
しかし
西オーストラリア州の
パースにいた
数名の医師は
胃潰瘍の原因が
ストレスだとは
思っていませんでした。
胃潰瘍はバクテリア感染により
もたらされたものであり、
そのバクテリアとは
ヘリコバクター・ピロリ
(ピロリ菌)だ、
と主張したのでした。
案の定、
学会の大般は
彼らの主張に猛反対。
そこで
1984年に
その医師の一人
バリ―・マーシャルは
自分達の説の正しさを
証明するために
培養したピロリ菌を
自ら呑み込んだのです。
マーシャル医師が
嬉しそうに
著者のモズリーに
語ったところによれば、
思惑通り
ピロリ菌を呑み込んだ
数日後から
マーシャル医師は
胃の異常を感じ
吐き始めたそうです。
吐き気
口臭のひどさ
胸やけ
食欲の喪失
典型的な
胃潰瘍の症状でした。
自分で
内視鏡を呑み込んで
炎症を起こした
胃の内壁のサンプルを
採り調べたところ、
自分の胃に
ピロリ菌が棲みついたことが
判明できたのです。
しかしながら
マーシャル医師の健康を
心配した奥さんは
実験をストップするよう
懇願しました。
そこで
彼は
既に実験で判明している
ピロリ菌を殺すのに
効果的な抗生物質を
飲んだのです。
結果、
マーシャル医師の胃は
元通りの健康な状態に
戻りました。
この自分の身体を使った
人体実験で
ピロリ菌が胃潰瘍の
原因だと
証明されたのにも
かかわらず、
向こう10年間に
モズリーが取材した
医師の中には
いまだに反対や疑問を
掲げる人達が
少なくはなかったそうで、
医者を頼ってきた
患者にマーシャル医師の
使った抗生物質が
処方されることは
まだ稀だったそうです。
マーシャル医師が
その功績を認められて
ノーベル賞を受賞したのは
自己人体実験が行われてから
なんと21年も経った
2005年の事
だったのでした。