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ムッシュかまやつトリビュートfor七回忌





SONGS & FRIENDS ムッシュかまやつトリビュート for 七回忌 produced by 武部聡志


愛に溢れる素晴らしいコンサートだった。


ムッシュがどれだけ愛されていたかがハッキリとわかるコンサートだった。


武部さんのアレンジもハウスバンドの演奏も圧巻で気持ち良すぎて吸い込まれそうな2時間でした。


冒頭、スクリーンに生前のムッシュが登場、ムッシュが登場した瞬間、和む。本当にそこにいるような錯覚に陥る。「たまにはシャバに出てこないとヤキ回っちゃうよ」とか言いながら、今にも袖から登場してきそうだ。


先ずはTAROかまやつが登場して、「ゆっくりとゆっくりと」をピアノ弾き語り、二番でスクリーンにムッシュ登場し、ムッシュ&TAROが交互に歌う。これは「僕らの音楽」の映像かなぁ?当時、TAROさんはフジテレビ社員だから他局の番組に出演した訳じゃないと思う。良く合ってた。なるほど、生前の素材と絡めた構成に本当にムッシュがいるような錯覚に陥る。演出は松任谷正隆さん、音楽監督は武部聡志さん、鉄壁だ。


続いては、LIFE IS GROOVE KenKenと山岸竜之介が登場し、お馴染みのナンバー「ゴロワーズを吸ったことがあるかい」を演る。会場中に爆音が広がる。KenKenのベースも竜之介のギターも鳴ってる。竜之介が使用しているスタインバーガーは晩年のムッシュのトレードマークになったギター。シャリシャリな金属音だけど、ムッシュはこれ軽く持ち運びが楽なんだよね、と言ってた。でも、小さいだけで、決して軽くはない。難しい楽器だけど、竜之介いい音させてたな。MCでムッシュに形見分けで頂いたこのギターでやります!とか一言言えば良かったのに。何人がスタインバーガーに気付いたんだろう?KenKen の仲介で60歳離れたムッシュとバンドを組むって凄いよね。思えば初めて竜之介を見たのは彼が9歳の頃のレッドシューズ。感慨深いっす。「まだ家族にも言ってないけど、1年の余命と言われた」、と二人に告げたって話、初めて聞いたけど、家族以上に近く、信頼している二人だったんだな。2曲目は、ウオッカ・コリンズのをAUTOMATIC PILOT」、良い曲をカバーしてくれて有難う。ムッシュにはジャズやカントリー&ウエスタンや歌謡曲の血が流れているけど、その中に野太いロックンロールの血があり、この曲は正にそれ。アランのギターとボーカルも大口ひろしさんの頑固なエイトビートも加部さんのブリブリベースもどれもこれも素晴らしいけど、ムッシュがいるからウオッカ・コリンズは成立したんだと思う。スパイダースもある意味そうだ。


続いて登場したのは、今井美樹さん。

下手側には今井美樹さん、上手側にサス明かりの元にスタンドマイク、ムッシュがそこにいる。ホロスコープなんかより全然物語る明かりで表現する素晴らしい舞台演出。スパイダースの名曲「ノー・ノー・ボーイ」をとろけるようなデュエットナンバーにアレンジ。涙ーーー。そして、2曲目は「20才の頃」、歌詞やメロディーが素敵で可愛い曲、ムッシュの真骨頂とも言えるコード進行。ムッシュのこの世界、たまんないなー。とろける。この歌詞のようなオシャレなカップルに憧れました。


そして、森山直太朗の挨拶で、森山良子さん登場。直太朗は「よしだたくろう&かまやつひろし」名義で74年に発表した名曲「シンシア」を熱唱。直太朗の声にとても合ってる。当時、スパイダースをやめて彷徨っていたムッシュはフォークシーンに近寄っていて、まぁある意味それまでのカレッジフォークと違って「個」で勝負していたリアルな当時のフォークに惹かれたんだろうけど、まだまだロックVsフォークみたいな構造のあった頃だから、「ウエスタンカーニバル」かなんかに出た時に出番を待っていたら内田裕也さんが来て「ムッシュ、ロックかフォークかはっきりしてくんないか」って迫られたらしい。今考えたらすごい話だけど、それくらいみんな真剣に演ってたんだろうな。ムッシュは、ステージに出ていって「フォークのかまやつです」って言ったら、結構ウケたと言ってましたけど。この辺のかわし方が天才的。


続いては、かまやつひろしのカントリー&ウエスタン調の名曲「どうにかなるさ」を森山直太朗&森山良子親子。後でマチャアキさんがMCで言ってるけと、この曲、ハンク・ウィリアムズの「Lonesome Whistle」に酷似してる。それを当時指摘したら、ムッシュ曰く、「良い曲は似ちゃうんだよね〜」と宣ったという。これまた天才的な返し。しかも真実。間違いなくパクったんでしょうけどね。


「懲りない二人」から「ハロー、ミスター・サンシャイン」、良子さんは今回は可愛いカントリーファッションでキメてた。続いて、まさかの森山良子」さんの唄う「我が良き友よ」、これには驚いた。ご本人も「まさかこの曲を唄うことになるとは思いませんでした」とMCで言っていた。


そして、ユーミン登場。先ずは、荒井由美時代の自身の曲「返事はいらない」、1976年、TBS「セブンスターショー」の「ムッシュ&ユーミン」の回で生まれた曲を2曲披露。番組内でユーミンがかまやつさんにプレゼントしたのが「中央フリーウェイ」。一方、かまやつさんがユーミンに贈ったのは「楽しいバス旅行」という曲だったが、こちらは結局、未完成のまま収録日を迎えたらしい。多分飲んだくれてたから曲仕上げる時間などなかったんだろう。YouTubeに上がってるけど、今見ると凄い番組だ。国宝級の貴重映像。リマスター版Blu-rayで欲しい。TBSさんお願いします。こんなオシャレな音楽番組、よく地上波でやれたな、と思うくらい正しい番組。昔のテレビはすごいなぁ。ハウスバンドのティンパンアレーの演奏も秀逸です。

続いては、同じく「セブンスターショー」で歌ったスパイダースの名曲「サマー・ガール」を披露。


ラストは当然このお二人、堺正章&井上順、一曲めは「夕陽が泣いている」、登場と同時にイントロがはじまり、「ゆうやけ〜」と歌い出すと思いきや、「ゆうっておかなきゃならないことがある」、と外し、井上順がずっこける。完璧な外しと完璧なズッコケ。でも当時とは違い、受け身取れず頭を強打した模様。それも演出なのかマジなのかもはや分からない。完成されたTVショーをみてるような気分になる。思えば、小さい頃のテレビは東京弁でオシャレで軽妙洒脱だった。漫才ブームくらいからテレビはちょっと下品になったのかも。マチャアキが言っておかなきゃならないことがある、と言ったのは、「夕陽が泣いている」はムッシュが作った曲じゃなく、浜口庫之助さんが作詞作曲した曲、本来今日という日にはふさわしくないかもしれないが、スパイダースのブレイクのきっかけになった曲なのでやらせてもらう、というもの。「スパイダースの残党の堺正章です。スパイダースのスペア歌手の井上順です」という挨拶もいいね。


「ヘイ・ボーイ」、鳥山雄司さんのギターが冴え渡る。続いては、堺正章・井上順&TAROかまやつ「なんとなくなんとなく」、これはムッシューが当時忙しくて、ムッシュ夫人が歌詞をかいたのだと、TAROが暴露。母の口から実際に聞いたから間違いない、と。だから、麻布十番のムッシュが眠る賢宗寺の墓跡にはゴロワーズと共に、この曲の歌詞と譜面が刻まれている。


そして、「先ほど今井美樹さんが何の断りもなしに歌ってましたけど」と笑いを誘い、本家本元「ノー・ノー・ボーイ」。本当に十代の男の子の気持ちをよく表した歌詞だと思う。今井美樹さんの時は武部聡志さんのオシャレなキーボードソロだったが、こちらは鳥山雄司さんのギターソロ。MCで今井美樹さんと話したら、ロンドンは税金が高いんですよー、と言ってましたよ、とマチャアキさんが言うと、すかさず井上順さんが、へー、なんの税金ですか?と問う。マチャアキが、固定資産税、と答えて会場爆笑。この軽妙な掛け合いは本当に古き良き昭和のテレビという感じがした。全編通して、年末年始の極上の構成のテレビ特番を見ているような感覚だった。


そして、本編ラストナンバー「フリフリ」、スパイダースのディレクター、本城和治さんは言った。「スパイダースが、日本初のロック・バンドだ」と。だとするならば、1965年に発売された「フリフリ」は、日本で最初のロックナンバーだ。ビートルズのナンバーを研究しつくした後に、三三七拍子という日本のリズムを取り入れたこの曲、これはリーダーの田邊昭知さんのこだわりだった、という。リーダー海外進出を目指していた田邊さんは、その日の為に日本人リズムを取り入れた。日本人としてのプライドと、ムッシュのロックセンスが絡み合った力強いナンバーだ。それまでは箱バン然としていたハウスバンドがとにかく嬉しいそうに奏でているのが印象的だった。彼らも恐らくスパイダースを聞いて育ったのだろう。


そして、アンコールは出演者全員ラインナップで、「あの時君は若かった」、これまた名曲。ムッシュが作曲した名曲の数々、改めてまとめて聞くと凄い。全然違うタイプの曲で、すごいな、と思った。そして、ラストナンバー「バン・バン・バン」。竜之介のギターが炸裂してた。サラッと弾くから誰が演ってるかわかんないけど、もっと顔で弾いたり、前に出たりすれば良いのに。


最後は、サス明かりの中に一人一人が立ち、ムッシュへの想いを語った。どのメッセージも刺さったが、TAROかまやつが最後に「素敵なライブだったでしょ」と感極まって言った時は思わず泣いた。ムッシュを反面教師としてロックから遠ざけられ、ギターは触らせてもらえず、クラシックピアノを弾きながら育ったTAROさん、そんなTAROさんが、ムッシュが亡くなった後に、いろいろな人達と会い、話を聞き、ムッシュの凄さを改めて知る、いつかあの世で会えたら、ますば謝りたい、と言ってた。TAROさんの感謝が炸裂した夜でもあった。


大ラス、武部聡志さんがひとりステージに残り、「ムッシュがいなかったらムッシュに見出されなかったら、自分はここにいなかった」と、涙をこらえきれず嗚咽しながら感謝を述べた。いつも冷静な武部さんがあんなに取り乱す姿を初めて見た。


ムッシュは偉大だ。


だけど、それを全く感じさせず、いつも平等に人と接してくれる。


「やぁ、みんなお揃いでどーしたの?

お元気?」


と今にも袖からやってきそうだった。


昨夜はムッシュもあそこにいたような気がする。


これからもこうやってムッシュの名曲の数々を歌い紡いでいってほしい。


風来坊のようにギター片手にいろんなところに行ってはステージに乱入していたムッシュ。ベルリンの壁崩壊の時は、ギター片手に壁に攀じ登り「バンバン」を掻き鳴らした。お茶目で飄々としてるけど、アジテイターでもある。AD時代、上とぶつかり行き詰まってた時、ムッシュにこう言われた。「平野さん、そいつらアンタの人生と何にも関係ねーぜ!」。そう言われてとても楽になったのを覚えてる。会うといつも「最近イカしたバンドいる?」と常に新しい才能を探していたムッシュ。気に入ったら歳の差なんて関係なく、リスペクトを込めて仲良くなる。いつも同じ目線で付き合ってくれた。スーパーカッコよくてスーパーオシャレなムッシュ。俺もあんなふうに歳を重ねたい。


サンキュームッシュ!

そっちはまた賑やかになりましたね。

みんなでまてピンコロ演ってんでしょうね。


いつもムッシュの曲を聴いてムッシュを感じています。


サンキュームッシュ!



PS ネタバレしまくりだけど、WOWOWで放送あるらしいので、是非観てほしい。