サンキュー!チャーリー・ワッツ | YOU-DIE!!!オフィシャルブログ「BOOBEE」Powered by Ameba

サンキュー!チャーリー・ワッツ


ザ・ローリング・ストーンズの最重要人物、チャーリー・ワッツが天に召された。


いつかこんな日が来るとは思いながら、なるべく考えないようにしてた。


こんなにも早くその日が来るなんて


深い悲しみに暮れ、チャーリーが生まれたブルームズベリーのタンカレーのジンを飲みながらストーンズを聴いている。


チャーリー・ワッツ


ジャズ好きなジェントルマン。ダンディーでお洒落で、そして、頑固な自分の中の理想的な英国紳士。


チャーリーの逸話で一番好きなエピソードは、1984年、ギクシャクしていたストーンズの数年ぶりのミーティングでアムステルダムのホテルに集まった時の話、ミックとキースが最後に部屋に残り、他のメンバーは部屋に戻った朝の5時、全てを手にして、傲慢なフロントマンに成り下がったミックが、キースの制止の言葉も聞かず、ふざけてチャーリーに電話し、


 “Where’s my fucking drummer?“


と電話した時の話、


チャーリーはすぐさま起きあがり、髭を剃り、真っ白なシャツにネクタイを締め、Savile Row(背広の語源のテイラーの集まるストリート)のテイラーで仕立てたダブルのスーツを身に纏い、リージェント・ストリート(リーゼントの語源)で生まれた革靴のキングJOHN LOBBのシューズを履き、ミックの部屋に向かい、ドアを開けると、おもむろにミックの胸ぐらを掴んで左フックを決め、のびたミックに


“Don’t ever call me ‘your drummer’ again,”

“You’re my fucking singer.”


と言い放った話。


ミックには申し訳ないが、痛快極まりない。誇り高き英国紳士、チャーリー・ワッツ!

カッコ良すぎます。


アレクシス・コーナー学校でジャズやブルースをプレイしながら、ストーンズを作った男、ブライアン・ジョーンズと切磋琢磨していた頃、チャーリーもブライアンも間違いなく、まだ先行きの全く見えない夢と希望の塊の可愛い顔をしたミックやキースよりもクールな存在だったはずだ。当時はミックとキースに口説かれ、まぁちょっとくらいやってやるか、と付き合ってストーンズに入ってやった、くらいの感じだったのかもしれない。それがたまさかの世界一のロックバンドになり、ミックは世界一のフロントマンになったけど、チャーリーはあの時のまま、誇り高きジャズドラマーだった訳だ。素敵だ。


ロックバンドはドラムだ。ドラムが変われば全てが変わる。ある意味ドラムに支配されている、と言っても過言ではない。チャーリーはキースのギターに合わせ、キースはチャーリーのドラムとグルーブを作ってる。どちらかが欠けてもストーンズのビートじゃなくなる。どーすんだい!?キース!?


ミックもキースも常にチャーリーを見ている。こないだのドームのライブでもエンディングが冗長になった時、勝手に自分の判断で締めることができるのはチャーリーだけだ。ザ・ローリング・ストーンズはチャーリーが締めてる。


一体どーすんだい!?キース!?


一度だけストーンズが武道館でやった事がある。2003310日、仲良しの姐さんのお陰で、急遽5列目のチケットが手に入った。持っていた1Fスタンドの席は誰かにあげた。一列前にレスラーの高山選手、後ろには日本を代表する有名なロックバンドの面々、すごい席だった。どこから観ても近い武道館で5列目。ミックと目が合うし、ロニーのピックは飛んでくるし、あれは本当に興奮した。特別な武道館という場所での来日公演。忘れられない。その日、姐さんから早く来るように言われ向かうと、キースの衣裳を作ってる辻野君やストーンズマニアの鍵盤奏者の堀江君なんかとバックヤードに入ることができた。ステーキやらローストビーフやらなんだか高級そうなケータリングに囲まれた部屋に業界人ぽい人も全くいなく、皆がファミリーのようで一人カチンコチンに緊張してドギマギしてると、「雄大、こーゆー時は偉そうにしてるのよ〜」と言われ、ハッとして、取り敢えず、ドカッと座り、ステーキを食べた。メンバーは来ないんだな〜、と思っていたらチャーリーがやって来た。とても紳士的に皆と挨拶を交わしてる。目の前にチャーリー、俺は挨拶も出来ず、ただドキドキしてた。夢見心地であまり覚えてないけど、かなり長居をし、開演時間も迫ったきたので、「ねぇ、そろそろ席に行かないと始まっちゃうよ!」と言うと、姐さんに言われた一言がストーンズの全てを語っている。


「そんなに焦んないの!そこ見て!チャーリーいるでしょ?チャーリーがカウント出さないとストーンズは始まらないのよ。」


I thank you, Charlie. 


R.I.P. Charlie Watts.