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THE ROLLING STONES/SHINE A LIGHT


 
前回の「69★TRIBE」でのこと。いつもより早くやってきたミスターレッドシューズMON兄さんからストーンズの「SHINE A LIGHT」のフライヤーを見せてもらった。「12月にロードショーらしくてさ、なんかやりたいんだよね~」。マジ!?スコセッシがストーンズ撮ったんだ?すっげ!「タクシードライバー」「レイジングブル」…スコセッシの描く男達が大好きだ。熱くてクールでタフであきらめない男達。スコセッシが撮るニューヨークの夜景が大好きだ。芳醇で贅沢でトロトロにトリップしてしまう摩天楼。ザ・バンドのラストライブを収めた「ラスト・ワルツ」は俺たちのライフワークである孤高のライブプログラム「FACTORY」の映像のお手本になっている。10年前、今、NYにいる俺の兄貴分Dr. tommyと「ラスト・ワルツ」を観ながら「このバッグ・ショットがスウィート・カットなんだ!」と何度もわめき散らした僕らの教科書。そのスコセッシがオレの最大のアイドルSTONESを撮る!これはちょっとした事件だ。




 翌日二日酔いでガンガンの頭で俺は、JAL06NYJFK直行便に乗っていた。シートについて上映映画のチェック。「『SEX AND THE CITY』オッケーこれ見逃したから観なきゃな、女体盛りにコスモポリタンでしょ、よしよしまずこれ観よう」と思いつつ他のもチェックしてると、一番下にナ・ナ・ナント!「THE ROLLING STONES/SHINE A LIGHT」のタイトルが!マジっすか!?奇遇すぎ!最高のフライト。早速観ました「SHINE A LIGHT」。The Rolling Stones Live at Beacon Theatre。ビーコン・シアターとはマンハッタンにある小さなコンサートホール。NYに向かう飛行機の中で観るNYのホールでのストーンズライブの映像。断然盛り上がります。先に結論をいいます。最高の映画です。だってストーンズが出てるんだもん。加えてそれをスコセッシが撮ってるわけで、最高のライブ映像。最高のライブサウンド。ただただ感動しながら観たよ。ただいろいろ言うね。最高だってベースで聞いてください。

 映画はミックとスコセッシのせめぎあいから始まる。セットについてお互いの見解の相違、「なんでこのセットなんだ?彼(スコセッシ)の狙いを知りたい」とミック。「彼(ミック)の希望でそうしたんだ!」と負けてないスコセッシ。プロ同士のぶつかり合いがおもしろい。電話でお互いの気持ちを確認し合う世界一のロックバンドもフロントマンと世界的な映画監督。納得しななきゃ前に進まない自分達のステージに真摯なミックが素晴らしい。後はお任せで…なんてなくずっと真摯に目の前の舞台と向き合ってやって来たから未だに現役なんだろうな。スコセッシもそうだけど…あの年になっても「まあこんな感じかな」って経験値でやり過ごさず、いい画を撮るために執拗になってる姿が美しい。



 それにしても、映画の冒頭はとにかく時間がないんだってことが言い訳がましく執拗に繰り返されて苛立つ。早くライブ始まってくれよ。「1曲目がなにか早く教えてくれ!ギターで始まるのかドラムなのか…それによってカメラが…」アシスタントに詰め寄るスコセッシ、何も情報がない中でイライラするのはわかるけど、ストーンズだよ!ギターで始まるに決まってんじゃん!?何がきてもOKって布陣で構えてるんじゃないの?まあ、スコセッシもああやってあーだこーだ言いながら自分を鼓舞してるんだろうけども…。それはわかるけど、そもそもあんなシーン必要か?エゴでしょ?今回は時間がなかった。時間があればもっといいもの作れたんだ、というスコセッシの声が聞こえてきそうだった。でも考えてみなよ、いつだって時間なんかなかったはずだろ?時間ない中で仕上げるのがプロだってことは一番知ってるはずじゃん?


 映像はと言うと、NYのビーコン・シアターという小さなホールで行われたライブだから画がとにかく近くて最高。今回はアカデミー賞受賞撮影監督率いる撮影チームが集結したらしいが、正直「う~ん…」って感じだな。映画人が撮るライブ映像って感じで、ドキュメント映像にはなってるがロックのビートを感じるライブのスイッチングにはなっていない。サイズも甘すぎるし。ここ10年で自分が成長したのかもしれないけど、生意気言わせてもらっていいですか!?俺の方がカッコヨク撮れるぜーーーーー!!な~んてなっ!マジだけど。まあ、ライブをどうこうってことよりストーンズ相手にここまでセッティングできるスコセッシが凄いんだけどね。その時点で仕事の9割終わってるもん。でもみんなが見るのは残りの1割だからさ。凄腕の映画撮影クルーを集めるよりも世界のスタメン若手ライブカメラマン達をお集めてコラボレーションして欲しかったな。で、その素晴らしいライブフッテージを老練なその目でエディットした映像が観たかった。オラが村で固めんなよ!アンパイ狙うなよ!チャレンジしろよ!なんてネガティブで生意気なことを言わせて頂きますが内容は最高だからご心配なく。特にサウンドのクオリティは凄い。音がクリアでとにかく最高です。キースのミストーンもバッチリわかります。
にしても本当に選ばれた人しかいないって感じだったなあ。開演前にクリントンやヒラリーや名立たる政治家や経済人達と挨拶を交わすストーンズの面々。「マジ?挨拶?なんで?それはオレの役目じゃない!」と挨拶を拒む頑固なチャーリーが渋かった。客も招待されたスーパーセレブだらけ。アメリカ人ってセレブでもちゃんとノルからいいよな?しかも、日本の消防法ではあり得ないくらいステージと客が近いからとても迫力がある。これくらい近いといいよな。でも日本で同じことやっても不景気なしかめっ面の腕組み観戦で、お通夜みたいでてんで画にならないよきっと。日本だと誰なんだろ?小泉さんとX JAPAN?まあギリギリセーフかな。でもこんなイカしたパーティー開けないだろうな日本の政治家は。やっても下らない政治発言しそう。イギリスにもプリンセス・トラストというチャールズ皇太子主催の野外ロックフェスがあって2000年まではフジテレビ721で生中継してたけど、いいフェスだったな。一言も政治に纏わること言わないし、ミュージシャンも楽しんでて。日本には政治と音楽が繋がる瞬間が少ないよね?そこで何を言うわけじゃなくさ、何か唱えた時点でパーティーではなくなるんだけど、何も言わずパーティーをやること?それが大事なんだ。何も言わずパーティーをやるっていうパフォーマンスに意味があり信頼を勝ち取れると思うんだよ。話が飛ぶねえ、今日は休日だからかな?





 「JUMPIN' JACK FLASH」から始まったビーコンシアターライブ、「SHATTERED」「SHE WAS HOT」と続き、「LOVING CUP」ではThe White Stripes の Jack Whiteと競演。後半、寄り添うジャックに冷たいミック。気のせいかな?そして、珍しくAS TEARS GO BY」をやって、明らかにエンディングを間違えたと思われる「JUST MY IMAGINATION」、そもそもどこで終わるかって決まりがとてもザックリしてるんだろうなストーンズの場合。でもそれってロック的に正しい。そして、ロニーのスチール・ギターから始まる「FARAWAY EYES」、ミックとキースが抱き合いながら唄うシーンには感涙ものです。続いてはBUDDY GUYと競演した「CHAMPAGNE & REEFER」、バディのパンチのある声が炸裂、キースがバディに挑みかかる。ミックのブルース・ハープはいつ聞いてもセクシーだな。ミックのハープを聞くとなぜかブライアンを思い出す。そして、いつ聴いてもイントロが気持ちいい「TUMBLING DICE」。続いては、メンバー紹介から「YOU GOT THE SILVER」、ギターも持たず唄うキース。「CONNECTION」と続き、「SYMPATHY FOR THE DEVIL」では観客席から登場してオーディエンスを煽るミック・ジャガー。「LIVE WITH ME」ではクリスティーナ・アギレラと競演。ジェントルなキースとは裏腹にエロエロ親父なミック。ジャックの時とテンション真逆じゃん?ボビーのSAXソロ中、ムッチムチのアギレラちゃんに絡みまくりのミック。エロイっちゅうねん!!そんなアギレラちゃんのハイトーンボイスは圧巻でした。欲を言えば、Amy Winehouseとの競演も観たかったな。START ME UP」では過去のインタビューが印象的に入ってくる。「BROWN SUGAR」ではオープンGポーズで自慢げにはしゃぎまくるキース。

 全てが今まで観た光景。ロックンロール金太郎飴!尊敬する兄貴、高橋ROCK ME BABYは言った。「全く同じリズムで全く同じスリーコードで毎回かっこよくやれる奴がロックンロールなんだ!」そう、そこにはマンネリズムなんて存在しないのさ。飽きた奴が負け!ロックが足りなくなった分、音を分厚くしようとしていつもロックバンドは失敗するよね?キースのリフなんて言っちゃ悪いがヒドイもんだよ、一回もまともに弾けたためしないしさ、でもそれが最高なんだ。いつもフレッシュなんだ。「SATISFACTION」もキースのヒドイリフから始まる。でも楽しそうだ、ちゃんと音が鳴ってようが鳴ってなかろうがおかまいなしさ。かっこつけて弾くだけさ。途中インサートされた過去のインタビューで秀逸なのが、キースとロニーそれぞれに「どっちがギター上手いんですか?」と意地悪な質問をぶつける件。「オレの方が上手いって彼は知ってるはずさ」とロックに決めるロニーに対して、キースは「俺たちのギターはそんな大したもんじゃないけど二人揃えば無敵だ」って答えてた。最高だよキース。答えも不器用。「一番多く聞かれた質問は?」ってインタビューには「今、君が聞いた質問さ」とロックにかわせるのに、ことギターに関してはマジに答えちゃってる辺りがカワイイっていうか最高だね。

 この日のライブは、同じビーコンシアターで2006年に行われたストーンズのライブのバックステージで転倒し後頭部を打ち、打ち所が悪く2ヶ月余りの昏睡状態の後、帰らぬ人となったアトランティック・レコードの創始者アーメット・アーティガンに捧げられた。


 JFKからタクシーでマンハッタンまで…ホテルにチェックインし、近所を散策。ちょっと歩けばセントラルパークだな、そう言えば、この街であのライブが行われたんだなあ飛行機で観たあの伝説的なライブ…、なんて思いながら歩いてたら通りの向かいにBeacon Theatreの看板が!!ウソッ!?できすぎでしょ?