Kさんは凄くユニークだった。
年齢45歳バツイチ
子供は不明
アプリでのメッセージのやり取りを何往復かした後、LINEの交換を提案されたので、LINEへ移る。
LINEへ移るなり早々、動画が届く。
何かと思いきや、自己紹介兼メッセージの動画だった。
私は思った。
『こんな事ある?』
『こんなことする人おる?』
動画の内容は、ざっと言うと…
今日の天気からの挨拶から始まり、今からこんな用事をこなすという今日の予定、ちょっとした小話と失敗談、今後の2人の流れ?予定?のようなKさんの理想の付き合いみたいな何か。
あまりにもアバンギャルドすぎて笑いが出て、興味が湧いた。
動画を撮って送ってくる人なんているのねって感じ。
ちなみに動画を撮っている場所は車の中。
興味が湧くと同時に、きっとかなりの曲者なんだろうなって頭によぎる。
その後も、メッセージだったり動画だったりを交えてやり取りを続ける。
ほぼ毎日動画が一本届く。
Kさんは料理人なので、料理を作っている厨房の中の動画も届いた。
炒飯を作っている時の動画が届いた時は、さすが料理人って感じの手際の良さと、葛飾北斎の『神奈川沖浪裏』ばりのフライパンの上の米の躍動感だった。。
葛飾北斎 神奈川沖浪裏
炒飯
彼の必殺技なのかなんなのか、動画ではなんっかいも葛飾北斎してた。
Kさんとのやりとりは楽しかった。
接客業されているから、話の運びも上手でユーモアのセンスというか話し方から面白い。
と言うかやっぱり変。
後、軽いし遊び人なんだなーって、そこらかしこから感じた。
Kさんとは会うことにはならないなって何故か分かった。
多分、そもそも論で家が遠すぎた。
同じ都道府県ではあったけど、車で片道軽く2時間かかる。
そして、生活リズムが真逆。
私は昼間の生活。Kさんは夜に仕事をする。
これは無理だ。
家が近いなら、生活リズムが違っても、人間関係を構築できる。
でも、距離が遠すぎると何も進みっこない。
Kさんからの連絡は出勤前の昼から夕方、もしくは夜中から明け方の仕事終わり。
タイムリーなやりとりはほぼなかった。
私もママでは無い為、昼間に来ていても気づかない為、メッセージのラリーにならない。
そんな先が無い事がわかりきった私たちのやりとりは、ある日突然ちょうどよく終わった。
それは、長いある連休が終わって、私が仕事が明日から始まるって言う日の夜20時ごろ。
Kさんから、明日は仕事?と聞かれた。
もちろんそうよ。と答える私。
Kさんから、『そうだよね、今から会えたらなって思って』と来た。
私は、こんな夜遅くから会わんでしょ、今から2時間後にどこで会うんじゃいって、思った。
このメッセージを受け取った直後の私の顔は、ドラゴンクエストのモンスター【ミステリードール】みたいな顔してたと思う。
私は『無理に決まってるじゃん、すごいね』と思ったまんまを打ち込んだ。
Kさんからは、それっきり連絡が来なかった。
もちろん、私も送ることはなかった。
終わりがあっけなさすぎて、夕方の時のような気分になったけど、なかなかの強烈なユニークさで楽しい時間が過ごせて、これはこれでよかったなって言う出会いだった。