アイロン掛けを覚えたのは中学校に入学して間もない頃の話ですね。
家庭の事情で母親が朝から晩までひとりで家計を支えてたもんだから、料理以外の家事を自分が回す事も珍しくなかったのです。
中学生になるとカッターシャツ(ワイシャツの西日本読み)に学ランという制服スタイルになり、制服のシャツにアイロン掛けをしなければならなくなった訳ですが、就寝前や起床してから自分のシャツにアイロン掛けをする母親を姿を見て助けてやらないと思ったのが正直な所でしたが、中学男子というのはどうにも素直になれない生き物なので
はっ!俺の制服に勝手に触んじゃねーよ!(仕事大変だろ?俺がやるからいいんだぜ?)
本心とは裏腹にとても反抗的でありましたなw
と言ってもシャツにアイロンを掛けた経験なんてない訳でドライ?スチーム?言葉の意味は分かるけど何をどうしたらいいか分からず、アイロンに中にスチーム用の水を補充すらしてなくて、シワも伸びきらずに綺麗な仕上がりとは程遠く、ほんとシャツを焦がさなかったのだけが幸いでしたw
どうせ学ランを上から羽織る訳だから見た目なんで関係ないと思っていたんですけど、やっぱり脱いでしわくちゃだとみっともし見苦しいんですよw
それを見た母親は
「いいんじゃないかな?仕上がりよりもその気持ちの方が大事だと思うけど。」
それからアイロンを掛ける度にダメ出しの様な愛のあるアドバイスをくれましたが
クソが余計な事言うなや!お前マジでうっせーし!(アドバイスしてくれてありがとう滅茶苦茶助かる!)
そんな反抗的な態度を取りつつも、その裏側ではとても感謝しておりましたw
試行錯誤を繰り返す内にプレスの仕上がりが段々と綺麗になり、プレスに要する時間も短くなり、適当にパッパと掛けても見た目も悪くなくなり、母親からの小言の様なアドバイスもいつも間にかなくなっていて、気が付いたら日々のアイロン掛けを楽しむ様になり、それは高校を卒業するまで続きましたね。
高校卒業から航空自衛隊に入隊してアイロン掛けの技能はより洗練される事になるのですが、それはまた別の機会にw
現在の仕事は制服が作業服なのですが、今の作業服ってノンプレス加工と言うのかな?とてもシワになりづらいんですよ。
正直干す段階でミスらなければ、アイロンを掛けなくていいレベルの仕上がりなんです。
作業中に汚れる事もあるし、シワになる事もあり、何より誰もそんな事見てないし気にしてないしと思っていたんだけど、先日自衛隊時代の作業服の様にバリッと仕上げてみたら…そしたらこれが全然違うのよ!
何が?見た目の話?
いやほらなんだ?全然気持ちが違うのよ!
別に誰かに見せる為にやってる訳でも無いし、綺麗だけど汚れるてシワになるから、ノンプレスでそれなりに仕上がってるからやらなくていいと思ってたんだけど。
初めてのアイロン掛けの時の母親の言葉を思いだす
「仕上がりよりもその気持ちが大事」
仕上がりは勿論大事なんだけど…やろうという姿勢や気持ちはもっと大事だって事なんだよね!
いつの間にかそんな気持ちを忘れて、便利や楽に慣れっ子になってました。
慣れるって良い言葉に聞こえるけど、それって何も感じなくなる事なんですよ。
効率的にするのはいい事だけど、非効率な事の方やってる時の方が思考を巡らせてる気がするんです?
何も考えずに非効率的な事やってたらそれはそれでダメだけどw
自分の知ってる一流や達人の所作は、一見慣れと思わせる位に一つ一つを意識的にやってるんですよね。
慣れてるから出来るんじゃなくて、寸分狂わぬ意識的な動作が慣れの様に見せてるだけかなと。
これは当然釣りにも言える事で、慣れの釣果と意識的な釣果は同じ釣果でも似て非なるものって事です。
若い頃はただ魚が釣ればそれでいいと思っていたから、そんな事は考えもしないし関係なかったけど、今は意識的に引き出す魚が楽しいんですよね。
そんなアイロン掛け一つでも、意識すればと生きてしっかりと経験になるという事で、今日もビシッと作業服にアイロン掛けて仕事に向かうのです。