どうしたら幸福を感じることができるか
~完母の孤独⑨~
戦時下や開発途上国のように生きていくのが
精いっぱいの地域では、
食べ物がある寝るところがある道具がある
といった生活満足度と幸福度は
ほぼ一致しています。
でも価値観が多様化し、物が豊富にある先進国での暮らしは、生活満足度と幸福度が
必ずしも一致しないことが多い。
外食やドライブ、旅行などの「欲求」
(生活満足)は消費で得ることができる反面、
持続時間が短く、
他にもっと良いものが出てくると
簡単にそちらが羨ましくなって
しまい順位が塗り替えられてしまう
特徴があります。
でも「幸福」は生活満足に限らず
長期的かつ安定的に
心を満たしてくれるものなので
消費(お金で買うこと)ができないものです。
築いてきた家族との絆、友人とのつながり、
今までの思い出や人生に対する充実感。
これらの幸福感は他と比較することができない。
検索地獄に陥った人がどうしていいか
わからなくなってしまうのは、
比較する対象(情報量)が
ありすぎてどこで満足感を得ていいのか
わからないからではないか、
と思うことがあります。
「あらゆる情報を調べてうちの子にとって
いちばんよい方法を選んであげたいんです」と
おっしゃる方はとても多いですし
「失敗したくない」
「自分は失敗してしまったのではないか、
そう思って毎日おびえている」
という方も多いです。
中には「赤ちゃんを泣かせたくないんです。
泣かせない子育てをするには
どうしたらよいですか」と
真剣に聞いてくる方もあります。
赤ちゃんも親も人間なのですから、
泣いたり笑ったり
失敗したりしながら過ごしていくもの。
そもそも生き物相手の生活はそういうもの
ではないか、と思うのですが・・・。
つづく
『おっぱいとだっこ』(PHP)著者 竹中恭子