思い通りにいかないことへのいらだち
~完母の孤独⑦~
「混合というグレーゾーン」で書きましたが、
どうして悩むのかというとみんな「思い通りにいかないから悩む」のです。
「ミルク」であれ「母乳」であれ、自分がそうしたくてしている
のだったら悩まないはずですから。
本当はミルクだけにしたいのに、
母乳も辞められない。
本当は母乳だけにしたいのに、
ミルクも辞められない。
もしくはどうしたいか分からないのに、
赤ちゃんがおっぱいをほしがる。
もしくはミルクを欲しがる。
そして同じことが言えるのですが
お母さん自身はどうしたいかわからないのに、
周囲がミルクを勧める、もしくは母乳を勧める。
だからこそ、こんなに
母乳育児の正しい知識や情報が広まり、
母乳率もあがったと言われているのに、
変わらず悩む人が多いのだと思います。
母乳110番は母乳推進団体ではなく、
相談窓口です。
ですから極端な話、お母さんが
悩みから救われるのであれば、
母乳でもミルクでも何でもいいわけです。
実際に私自身2人目は混合ですし、
目的は子どもを「母乳で育てること」ではなくて「子どもが健康に育つこと」ですから、
ミルクでも母乳でもどっちだっていいというのが
正直な気持ちです。
でもそう言ってもみんな許してくれない(笑)。
「お母さんにとっても赤ちゃんにとっても身体に良いことずくめ。
本当は母乳の方がいいですよね。」
「今は限りなく母乳に近い成分に
なっているのだし、
ママ以外の人間も授乳できるんだから本当は
ミルクの方がいいですよね」
「母乳育児支援はミルクの人たちへの
差別につながるから
すべきではないですよね」
「母乳の良さが喧伝される中で
泣いている人たちがいる。
母乳神話から母乳で育てられない人たちを
守らなくてはいけないですよね」
そんな風にみんな白黒つけたがる。
ではどうして白黒つけたがるのか、ですが。
私はこう考えています。
「何が幸せかわからないから」だと。
つづく
『おっぱいとだっこ』(PHP)著者 竹中恭子