ようおいで | 献食菜集

ようおいで

私の母方の祖母は明治生まれの京都の女性でしかも芸妓だったのでおそらく日常会話も京都弁だったはず。
祖母の家を訪ねると、彼女はいつも薄暗い玄関の上がったところ、階段のすぐ横の定位置で煙管でタバコをすっていて私を見ると「ようおいで」といった。いつも明治製菓の板チョコと栄太郎飴の赤い缶が灰皿の横にあって、わたしはそれをよくせがんだ。すると祖母は大事そうに銀紙ごとチョコを小さく割って私にくれた。それから毎回「舌切り雀」か「桃太郎」の話を聞きながら私も大事にそれを食べた。