2011年ももうすぐ終わろうとしている。


今年は本当に色々な事があった。



新年早々、引越しの準備をし、2月に新居に移転。


3月になると、新店舗「mojo smokin' Ⅱ」開店に向けて、


毎日毎日大工仕事やら、ペンキ屋さんやら・・・・自分で出来る事は何でもやった。






そんな矢先の


3月11日の東日本大震災。


そして


3月12日 福島第一原子力発電所事故。






あの時、から全てが変わってしまった。






振り返ってみると滅多に経験できないような事だらけだった。


二度と体験したくない事もあった。


そして、この国の美しい自然を愛おしく思った。


Great Spirits を感じた。


そして、東北人の心はめちゃくちゃ美しくって温かいってことを心と肌で感じた。


次々訪れる人との繋がりが素晴らしい出会いとなり、大きな力を貰った。




地上がどんなに汚れても、人の心が美しければ大丈夫。


私利私欲、争い、妬み、嘘、誤魔化し、・・・それらが地上を汚す。


地上を美しくするには、人の心からなのだと思う。




地震、津波、原発事故。


それぞれの土地、それぞれの事情、それぞれの思いで全く異なる被災感情。


しかし、どんなに辛く厳しい道のりであろうとも必ずゴールがある。


そして、ゴールは新しいスタートでもある。




東日本大震災、原発事故を受けて、避難を余儀なくされた私達の旅は


今のところ、文字通りゴールとスタートの連続。


まだまだ休むわけにはいかない。





【福島からの脱出】



H君を無事、親御さんに送り届ける事が出来て、ホッとするのも束の間。吉報が舞い込んだ。


じょにさんの知人に頼んであった中古車を買う事が出来ると言うのだ。


我が家の愛車は、避難時にガス欠で浪江に乗り捨ててしまっていたし


電車は動いてないし、バスもタクシーも燃料が無い。


避難したくても出来ない状態が何日も続いていたので、


福島から出るのはあきらめなくてはいけないのかと不安に思っていた。




あちこちからお金をかき集め、翌日、じょにさんに案内してもらい無事買う事が出来た。


目に沁みる綺麗なグリーンのファミリーカー・・・・派手である。


しかし、ガソリンは入ってるし、カーナビも搭載。


背に腹は代えられない。




じょにさんにも一緒に避難しようと誘ったが、なまず亭のことや、友人の事など気になるので残ると言った。


きっと、じょにさんも不安だったと思う。


あんな大きな家で猫と二人暮らし。


ガソリンは無いし、余震は続いていたし・・・・


しかし、いつまでもご厚意に甘えてばかりもいられない。第一に子供の被ばくが心配だった。


焦る私の気を他所に、じょにさんと主人はすっかり安心したようにリラックスしていた。


私としては、すぐにでも福島を脱出したかったが、じょにさんと主人になだめられ出発を翌日に伸ばした。




翌日、遅めの朝食を済ませると、じょにさんが忙しく家の中を行ったり来たり。


一階の部屋に次々と物が運ばれた。


服や帽子、靴下、布団、電気毛布、テーブルゲーム・・・・・などなど


着の身着のままの私達に必要そうなものをチョイスしてくれた。



その中で、私が一番気に入ったのが「blues is my business」とプリントされたTシャツ。


じょにさんから「AISAのbluesをやればいいんだよ」ってメッセージを貰ったような気がした。


散々世話になった上、宝の山を頂き、言いつくせない感謝の気持ちで一杯になった。


そして、後ろ髪を引かれる思いと、福島脱出へと焦る思いが混在した中、バタバタとじょにさんの家を後にした。






「被災者矢澤一家北上開始!出発進行~!プップ~♪」などと言いながらも、心の中は不安だらけ。


ガソリンは半分。


とにかく行けるところまで行こう。なんとかなるさ。


きっと・・・・・・


小雨が降る中、私達の乗った緑の車は、伯父の住む宮城県古川を目指し出発した。





to be continued・・・・・・・