【3/16 好転】
翌日、目が覚めたのは昼少し前だったと思う。
頭が重くて、喉が痛い。
空咳が止まらず苦しくて目が覚めた。
「風邪ひいたかな?」
外にはうっすらと雪が積もっていた。
「黒い雪」
頭の中で呟く。
今日は間違っても子供達を外出させないように気をつけよう。
この日、パーソンファインダーを見た人から電話が来た。
H君の小学校時代の同級生のお母さんからだった。
彼女はH君のお母さんとも仲が良かったらしい。
私は、H君の家族と連絡取れずに困っていることや、H君の様子を話し
お互い何か分かったらすぐに連絡しようと言って電話を切った。
すると、息子が
「あれ?そう言えば、お前、鹿児島から転校してきたんだよね?」
「うん。小学校ん時、浪江に転校してきた」と、H君
私はとっさに
「鹿児島に親戚いるの?」
と聞くと
「うん。じいちゃんが居る」
「マジ!?電話番号わかる?」
「わかんない」
「名前は?」
「えっと~えっと~・・・・わかんない」
「じゃ、住所は?」
「わかんない」
「じゃ小学校の名前は?」
「カモイケ小学校」
早速、ググって小学校に電話をした。
先生に事情を話すと真剣に対応してくれた。
しかし、H君が通っていた当時の先生はおらず、記録も見当たらないと言う。
わかっていることを全て伝えた後、一旦電話を切り折り返しの連絡を待った。
一刻たって、電話が鳴った。
「鹿児島県警ですが・・・」
学校が県警に連絡をしてくれたらしい。
その後、H君と県警の間でやり取りをして電話を切った。
また一刻たち電話が鳴った。
「もしもし・・・・あの孫がお世話になっておるそうで・・・」
H君のおじいちゃんだ!
すぐにH君に電話を渡す。
感動で涙が止まらない。
おじいちゃんはH君のお父さんに連絡をしてこちらに電話するように言ってくれると言った。
間もなくH君のお母さんから電話が来た。
お母さんはホッとして泣いていた。
H君もフワッと顔色が明るくなった。
警察がこんなに役に立つなんて知らなかった。
この時ばかりは、普段国家権力嫌いな私も心から感謝した。
to be continued・・・・