【3.14. 午前11時1分 3号機 爆発】

バダバタと物凄い音に叩き起こされた。

いつの間にか眠っていたらしい。

目覚めたのは夜明け近く。

騒音の原因は校庭に降りたヘリコプターだった。

救援物資が運ばれて来たのか、
それとも何処かに運ぶのか、、、

もやがかかってよく見えない。

結局、何の為のヘリかわからなかったが
とにかく、バタバタとうるさかった。



7時頃、ようやく子供達が目を覚ました。

早朝に配られた握り飯と500ペットのミネラルウォーターをそれぞれ子供達に配り、朝食を済ませると
次男を連れて近くのコンビニへ買い物に行った。

最後の一本になった歯ブラシと
ポケットサイズのウエットティッシュとタバコを買った。

商品がまばらなコンビニで他に欲しいものは無かった。



避難所に戻ると
いつの間にか避難者の数が増えていた。

その中に、うちのお店に何度か来てくださった原発で働く人達がいた。

軽く会釈をしたが、彼等は気まずそうに目を逸らした。

私は察した。

原発事故から逃げている後ろめたさだ。

その後も、何人か原発関係の人夫が避難所にやって来た。

妙に投げやりな態度に
あまりいい気がしない。

彼等の気持ちを窺い知る事は出来なかった。



昼前頃になると体育館は一杯になり、知っている顔がそこかしこに見える。

挨拶をして、お互いの情報を交換し、これからの事を話す。

皆、自分の家族の事で手一杯と言う感じだった。

余震は続くし、原発の様子も危うい。

もしかしたら電車が動いて居るかと思い
駅に電話して聞いてみたが
その期待は軽く裏切られた。

私達はまだまだ遠くへ逃げたいのに、手段が無かった。



絶望の中、救世主が現れた。

昨晩電話した福島の友人が見舞いに来たのだ。

避難所での様子を見て
「今日、部屋を片付けておくから明日うちにおいで」
と、言ってくれた。

今夜一晩、避難所でしのぐ為に、布団を持って来たいが
ガソリンが無くて持ってくることが出来ない。と申し訳なさそうに言ってくれた。

でも、私はそんな事気にして無かった。

私と言う人間は待つ事がとにかく苦手だから。




to be continued...