【3.12.午後3時36分 爆発]


完全に時間が止まった。
周りの音も聞こえなくなった。

「もう、帰れない」

直感的に思った。

体か震えて全てがガラガラと崩れる。

方針状態の私に長男の
「おかあさん!腹減った!」
と言う声がこだまする。

その時、どうしたのかあまり覚えて居ない。

ようやく、正気を取り戻し
今見た映像を忘れようと
やたらとテキパキ動いた。

避難所には空腹の子供も居たので、申し訳なく思い
車の中で買って来たピラフをおにぎりにした。

朝から何も食べて居ない長男と友達を車に呼び食べさせた。
あっという間に平らげ、とって置いたおにぎりも一瞬で
彼らの胃袋におさまった。



中3の長男は
生意気盛りの反抗期。

いつも私を困らせる。

しかし、この日は余程不安だったのだろう。

私から離れようとはしなかった。

友達は疲れたらしく
すぐに眠りに落ちた。

子供達が揃った安堵と裏腹に
途轍もない不安に襲われる。

津島は原発から半径36km

この距離で、安全とはとても思えない。

この子達の身の安全を守る為に
私はどうするべきか、、、。



夜になり
小雨がパラつきはじめた。