その日の夜は、次男の誕生日を主人の実家でやる事になって居た。

約束の時間に実家に行くと
ノコノコと長男がやって来た。

反抗期真っ盛りの長男もご馳走には弱いらしい。

「ばかっ!心配したでしょっ!」

思わず口から出た言葉は怒りモードだった。

ふてくされる息子に腹が立つやらホッとするやら、とにかく無事で良かった。

取り合えず実家の様子を見に行って見たが、この地震で部屋はゴチャゴチャ。
パーティーもへったくれもない。

義母は滅茶苦茶になった家の中を片付けながら
「パーティーは中止だなぁ」
と言った。

それを聞くと長男は
近所の避難所で友達と一晩過ごしたいと言って来た。

どうせ、我が家も滅茶苦茶で寝るところもない。

「じゃ、明日の朝帰ってきたら片付け手伝ってよね」

長男は避難所となって居た
ふれあいセンターに戻った。


この長男。
あとから聞いた話では
友達と学校の裏で遊んで居て
これから海に行こうと相談して居たらしい。

そこに地震が来て、近所の家から出てきたお婆さんと立ち話をして居たそうだ。

その時間差のお陰で助かったと言っていた。

海に向かって間も無く
海沿いで育った友達が風の変化に気付いた。

「風の向きが変わったから津波がくるぞ」と言ったらしい。

その後、
海から軽トラで逃げて来た人に「でっけー津波がくるぞ!」
言われたそうだ。

友人数名と共に、自転車ごと荷台に積まれ避難所に連れていかれたらしい。

話しかけてくれたお婆さんと、軽トラのおじさんに本当に感謝している。

あなた方のお陰で長男は死なずにすみました。



本当にありがとう。



to be continued...